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令和8年度診療報酬改定本体+3.09%が固まる:3分で分かるサマリー解説

こんにちはアジヘルさんです!アイリスにてAI医療の事業化に取り組んでいます。久々にブログ書きます!

ヘルスケア領域の事業・政策動向をウォッチする立場から、今回の診療報酬改定について現時点で見えている論点を整理します。

ニュースサマリー(何が決まった/固まったか)

厚生労働省は令和7年度(令和8年度)診療報酬改定の基本方針案を固め、診療報酬本体を+3.09%引き上げる方針を決定しました。日本医師会からも大枠決着を見たとリリースも出されており、前回(令和6年度)の+0.88%から大きく上振れしています。物価や人件費上昇に対して経営悪化に苦しんでいた医療機関の経営改善への期待が高まります。

この改定は、経済の新たなステージ移行期における医療機関の経営安定と医療従事者の賃金向上、現役世代の保険料負担抑制の両立を目指しています。基本方針の4つの軸として、経済変動への対応、2040年を見据えた医療提供体制の構築、医療の高度化・DX推進、社会保障制度の安定性確保が掲げられています。

3.09%の内訳を分解(賃上げ・物価・政策・適正化)

本体+3.09%引き上げの詳細な内訳は以下の通りです:賃上げ対応:+1.70%(ベースアップ加算中心)、物価対応:+0.76%(人件費・物品等の高騰対応)、過去物価対応:+0.44%政策改定:+0.25%(DX関連:電子処方箋、ICT連携など)、高熱水費・食費含む:+0.09%適正化:-0.15%(前回の-0.25%から緩和)。

重要なのは、これは「一律に+3.09%」ではなく、項目ごとに”取りに行く”性質が違う点です。特に賃上げ・政策改定は、対応の有無で実入りが分かれやすい設計になり得ます。賃金・物価関連対策が全体の約70%を占める一方で、政策改定(DX)と適正化がバランスを取る構造となっています。

「やったらプラス/やらなかったらマイナス」構造の意味(現場・経営の行動変容)

今回の改定の特徴は、「やったらプラス、やらなかったらマイナス」という構造です。具体的には、賃上げ(ベースアップ評価料等)やDX(電子処方箋等)を実施しない場合、改定の恩恵が薄れる可能性があります。

実務的には、現場運用(要件を満たすための業務設計)と経営判断(費用と点数の見込み、未対応時の機会損失を比較)がセットになります。ベースアップを活用した賃金改善や電子処方箋システムの導入などが点数上のメリットを生み、ICT・AI・IoTの利活用、タスクシェアリング、チーム医療の推進などが求められます。

適正化-0.15%が当たり得る領域(確度と不確実性を分けて書く)

適正化(-0.15%)は”どこが削られるか”で影響が大きく変わります。確度が相対的に高そうな領域としては、処方箋料(もう一段の引き下げが予想)、生活習慣病管理料(受診間隔の見直し議論)が挙げられます。不確実性が高い領域としては、外来管理加算、短期滞在手術料、整形外科関連があります。12月下旬〜1月に出る具体案で影響試算を更新するのが安全です。

薬価・OTC類似薬の論点(本体とネットの見え方)

本体が上がっても、薬価が下がり得るため、医療機関・薬局の手取りに近い「ネット改定率」は別物になり得ます。経営としては、本体(+3.09%)の内訳が自院で取れるか薬価(下げ方向の可能性)で相殺されないかをセットで見に行く必要があります。

OTC類似薬は、保険外しが見送られる方向との報道がある一方で、選定療養(希望時の差額負担)としての扱いや対象拡大が論点として残ります。電子処方箋を活用した重複薬・ポリファーマシー・残薬対策が強化され、長期処方の推進により受診回数が減少する可能性があります。

診療所/病院/薬局それぞれの示唆(短期にやること・中期の備え)

診療所は、短期にベースアップ評価料等の要件確認と賃上げ計画、電子処方箋の導入、データ提出加算への対応が必要です。中期には、在宅・多職種連携の体制整備(「支える医療」へのシフト)、ICT連携の拡張が求められます。

病院は、短期に賃上げ原資の設計(職種横断)、タスクシフト/チーム医療の実装が重要です。中期には、「治す」機能への集中と地域連携の再設計、データ提出・評価の強化が必要です。

薬局は、短期に電子処方箋対応(導入だけでなく”利用”が回る運用)、OTC類似薬(選定療養)の説明体制が必要です。中期には、ポリファーマシー対策を”電子処方箋の活用”と結びつけた業務設計、地域包括ケアにおける調剤機能の強化が求められます。

まとめ(論点の整理と、次にウォッチすべき情報)

令和7年度(令和8年度)診療報酬改定は、本体+3.09%の大幅引き上げを通じて賃金改善と物価対応を重視しつつ、2040年を見据えた医療提供体制の構築を目指しています。重要な論点は3つあります:+3.09%は一律ではなく、内訳ごとに”取りに行く”設計になり得ること、賃上げと電子処方箋等は「やったらプラス」の中核で未対応は機会損失になりやすい構造であること、適正化(-0.15%)は当たり先が未確定なので次の詳細情報で影響試算を更新するのが実務的であることです。

次にウォッチすべきは、12月下旬の内訳の精緻化、1月の具体案(運用含む)、2月の決定プロセスです。特に「適正化の対象」「電子処方箋等の要件と実装ハードル」「薬価とネット改定率」の3点は、現場の優先順位を直接変えます。医療機関の経営者や現場の責任者は、これらの情報を注視しながら、自施設の対応計画を立てていく必要があります。


参考:

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