こんにちはー、アジヘルさんです。
ますますハードな日々を送っているのですが、最近は個人インターンのみんなの活躍のおかげで、記事がバシバシかけてて本当にありがたい限りです。8月分は4記事も書けたからね!!
また前月からトライアルした、1社1記事フォーカスも評判よくって、今月からもベースそうしていこうかなと思います。
8月分まとめ
①メドピア編:https://t.co/iBBfzSDWCj
②MDVデータ編:https://t.co/m5m1PSSXPW
③Telavongo編:https://t.co/zvvnop2MML
④DeNA/データホライゾン編:https://t.co/UMZlKTWzaD
「丁度いいボリューム」と反応よかったのでしばらく1記事1社フォーカスを続けてみたいと思います!— アジヘル@AI医療機器アイリスCOO (@healthcareITSG) November 4, 2020
さて、では9月のヘルステック業界ニュースも行っていきましょう!
メドレー、調剤薬局窓口支援システム「Pharms」をローンチ
オンライン医療業界の政策の変遷
-限定条件下でのオンライン服薬指導の解禁
-新型コロナウイルス流行下における規制変化
サービサーとしては規制変化の流れに乗れるかが肝
調剤薬局窓口支援システム「Pharms」とは?
-「Pharms」の機能&利便性とは?
「Pharms」の導入規模がすごい
-システム自前主義で有名な日本調剤も「Pharms」を採用!
オンライン服薬指導システムの競合他社
メドレー、調剤薬局窓口支援システム「Pharms」をローンチ
今回は、メドレーが2020年9月にリリースしたオンライン服薬指導支援サービス「Pharms」について、考察していきたいと思います。
▼メドレー、オンライン服薬指導にも対応可能な調剤薬局窓口支援システム「Pharms(ファームス)」を提供開始 〜大手調剤チェーンを中心に、全国約1,800店舗の事前申込み〜
https://www.medley.jp/release/pharms-0903-1.html
オンライン服薬指導関連の政策の変遷
まずはじめに構造理解のために、オンライン服薬指導に関連する政策の流れを見ていきたいと思います。
限定条件下でのオンライン服薬指導の解禁
2018年度の診療報酬改定で、オンライン診療が解禁された同年、国家戦略特区において「オンライン診療に基づく処方箋であること」を条件に、オンライン服薬指導が可能となり、オンライン診療とオンライン服薬指導がセットといった形で、toPatient医療サービスのオンライン化が進みました。
さらに2019年には、改正薬機法が閣議決定され、「オンライン診療・在宅診療に基づく処方箋」「初診不可」といった条件の中、2020年9月1日に全国でのオンライン服薬指導が可能になりました。
新型コロナウイルス流行下における規制変化
2020年のオンライン医療業界の政策においての最も大きな変化は、厚生労働省から通知された新型コロナウイルス感染拡大防止のための「0410対応」です。
この規制変化は、オンライン診療・オンライン服薬指導において、初診を可にするなど、多大な影響をもたらしています。
オンライン服薬指導に関連する現在の法制度は、「0410対応」の規制変化により、根拠となる法制度が二重で存在する形になっています。
(以下の2枚のスライドは、メドレーの資料から引用)
実施要件の違いに関しては、「0410対応」で適応範囲が大きく拡大しています。
0410対応と改正薬機法では、診療内容や初診の取り扱いなどに違いがみられます。
改正薬機法下においてオンライン服薬指導を行うためには、その前の診療も「オンライン診療」であること、そして、電話での服薬指導は認められておらず、ビデオ通話が求められることが大きな違いであるといえるでしょう。
0410対応の方が実施要件が緩やかであることがわかります。
サービサーとしては規制変化の流れに乗れるかが肝
メドレーがこの時期に「Pharms」を導入しているのも、オンライン診療、オンライン服薬指導業界の規制変化を受けて、適応範囲が広くシェアを拡大しやすいタイミングを狙ってのことだと思います。
オンライン診療・オンライン服薬指導の両サービスを提供する企業にとって、現在の状況は、自社サービスを拡大するまたとない絶好のチャンスといえます。
菅政権は、オンライン診療の恒久化を掲げ、初診のオンライン診療を継続する方向を示しています。改正薬機法の「初診不可」の部分もオンライン診療の政策の方向性と同様に、「初診可」になっていくかもしれません。
政策の現状を簡単にまとめると、現在は「0410対応」でオンライン服薬指導の実施要件の範囲が広い、それに加えて、将来的に改正薬機法の実施要件の範囲も広がる可能性がある、といった状況です。
新型コロナウイルスの影響はまだまだ続くと思うので、時限的措置の「0410対応」は継続していくと思われます。オンライン診療・オンライン服薬指導業界の企業は、この規制変化に対応してサービスの導入件数をいかに伸ばせるかが、勝負所になってくると思います。
調剤薬局窓口支援システム「Pharms」とは?
続きまして、メドレーの調剤薬局システム「Pharms」の機能や利便性に関して紹介していきます。
「Pharms」の機能&利便性とは?
「Pharms」の機能について網羅されているスライドを以下に掲載しました。
上記のスライドからもわかる通り、「Pharms」は調剤薬局のほぼ全ての業務を効率化およびオンライン化できるシステムです。
調剤薬局の対人業務に関しては、処方箋ネット受付〜オンライン服薬指導〜オンライン医薬品配送とオンライン上で完結可能なシステムになります。
なんといっても、メドレーのオンライン診療システム「CLINICS」と連携させることによって、患者に対してオンライン一気通貫型のサービスが提供できます。
以下のスライドが非常に分かりやすいです。(Webサイト上ではアニメーションがついており、さらに分かりやすいので、是非こちら)もご覧下さい)
疾患によっては、「ペイシェントジャーニーの完全オンライン化」が実現するでしょう。
「Pharms」の導入規模がすごい!
現在発表されている「Pharms」導入規模に関して紹介していきます。
これまでのリリースで導入が明らかになっている薬局業界の企業、店舗数は、
・クオール:全店舗(819店) https://www.medley.jp/release/pharms-0903-3.html
・クラフト:全店舗(580店) https://www.medley.jp/release/pharms-0903-2.html
・たんぽぽ薬局:全店舗(134店舗) https://www.medley.jp/release/20200910.html
の3つです。店舗数を合計すると、1533店舗になります。
※11月のリリースで、日本調剤全店舗(668店舗)への導入が発表されたので、合計2,200店舗以上になります!
店舗数だけだとピンとこない方もいると思いますが、上記に書いてあるクラフトとクオールは調剤薬局業界の店舗数ランキングにおいて業界上位に位置しています。
メドレーは業界のトップ企業相手に導入を決定したといえます。しかも2つもです。
もしこれからアインHDや総合メディカルなどでの導入がリリースされれば、メドレーがオンライン服薬指導市場を席巻するといっても過言ではないでしょう。
システム自前主義で有名な日本調剤も「Pharms」を採用!
さらに、11月4日には、日本調剤全店舗での「Pharms」導入がリリースされました!
日本調剤、メドレーが提供する調剤薬局窓口支援システム 「Pharms(ファームス)」の全店舗*導入を決定 〜患者さまの利便性向上のため、オンライン服薬指導の対応体制を強化〜
大手調剤薬局の日本調剤は、システム自前主義で有名です。
以下の日調Webサイトにもあるように、自社でオンライン薬局サービスを開発し、オンライン服薬指導を実施しています。
「日本調剤 オンライン薬局サービス」を自社開発 ~当社全国の薬局(*1)でオンライン服薬指導システムの運用開始~
システムの自前主義にこだわる日本調剤と、外部化の流れが加速する他調剤薬局群という構造を予想していましたが、スギ薬局以外の企業は全て「Pharms」になるかもしれません。(日本調剤も、自社サービスとPharmsの併用利用からスタートということです)
やはり、オンライン診療システム(CLINICS)とオンライン服薬指導システム(Pharms)の二刀流は、最強の競争優位性になっていますね。
メドレーのオンライン服薬指導SaaS「Pharms」が日本調剤全店導入やばすぎる・・https://t.co/YWfTYbkT8A
システム自前主義で有名な日調が導入するなんて、Pharmsの勝ち決定やないか・・既にクオール、クラフト、たんぽぽ薬局入ってるし、スギ薬局以外全部Pharmsか#オンライン服薬指導 #メドレー pic.twitter.com/FlzrXYIIF4— アジヘル@AI医療機器アイリスCOO (@healthcareITSG) November 4, 2020
今後の新規導入のプレスリリースからは、目が離せません。
オンライン服薬指導システムの競合他社
オンライン服薬指導の競合他社としては、KAKEHASHIの「Musubi」、MTIの子会社「CARADAmedica」、メドピアのかかりつけ薬局化支援サービス「kakari」が挙げられます。
KAKEHASHIのオンライン服薬指導は、次世代電子薬歴システム「Musubi」に搭載されている機能になります。
以下のブログにMusubiを活用したオンライン服薬指導の利用シーンが動画で紹介されているのでイメージが湧きやすいと思います。
▼【動画あり】 Musubiの遠隔服薬指導を体験してみました。
https://musubi.kakehashi.life/blog/200422-musubi-remote-movie/
「Musubi」はもともと調剤薬局を対象に業務効率化をできるサービスとして始めているので、既にMusubi導入店舗にとっては非常に簡易的に利用できるオンライン服薬指導サービスとなるでしょう。
一方で、CLINICSのようにオンライン診療サービスを持っていないため、患者視点でのサービスの一貫性は出しづらくはなります。
また、特に門前薬局など、特定の医療機関との連携が強い調剤薬局は、医療機関が使っているオンライン診療サービスとシームレスに使うことができるサービス以外の選択肢が極めてとりづらいと考えられます。
現状はオンライン服薬指導を実施するためには、事前にオンライン診療が行われている必要があるという規制構造からですね。
ほんとこれ。門前や特定クリニックからの送客比率が高い調剤薬局は構造上、医院側がCLINICS使ってると、Pharms以外の選択肢がなくなりそう
戦略上オンライン診療とオンライン服薬指導の同時展開を意思決定し、サービスをローンチしたメドレーが、他プレイヤーから先行した感強い#オンライン服薬指導 https://t.co/ZIlT78S81a
— アジヘル@AI医療機器アイリスCOO (@healthcareITSG) November 5, 2020
もともと調剤薬局のIT化文脈では、ほとんど一強のように見えたKAKEHASHIとしても、オンライン診療という強い武器を持つメドレーという強い競合があらわれたな、というところでしょう。
最近はメドピアも調剤薬局まわりは凄い勢いですし、今後はここも厳しいマーケットになっていきそうです。
その点において、MTIグループが提供する「CARADAオンライン診療」は、オンライン診療からオンライン服薬指導、そして薬の配送と「Pharms」とほぼ同じ機能を持っています。
しかし、オンライン診療システムの医療機関への導入件数、「Pharms」の導入件数の点で見ると、メドレーの方が集患に強いといえます。
メドピアの「kakari」は、オンライン服薬指導機能も持ち、以前の記事でも紹介したように、スギ薬局1000店舗への導入が決定しています。
参考 薬局DX化なるか?メドピアのkakariがスギ薬局1,000店舗へ導入【ヘルステック業界最新ニュース8月版(メドピア編)】
first callもオンライン診療機能を追加し、メドレーにはない電子お薬手帳の機能を持っていたり、導入店舗数の規模も拡大していく可能性が大いにあるので、大きなライバルになっていくんだろうなと思います。
オンライン服薬指導システム業界の覇権争いが今後どうなっていくのか、こちらも注目ですね!
以上で、メドレーの「Pharms」に関しての記事を終わりにしたいと思います!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました! また、次回の記事も是非お読み下さい!
ヘルステック業界最新ニュース9月号まとめ
⇒メドレー編:「Pharms」をローンチ!オンライン服薬指導の勝者も近い?(本記事)
⇒海外編:オンライン診療で上場! Amwellをがっつり紹介!(準備中)
⇒メドピア編:日医工との合弁設立、「kakari for Clinic」を徹底考察!(準備中)
▼いま一番人気の記事
・【随時更新】医療ヘルスケア業界でビジネスやる人へのおすすめ本まとめ
▼こちらもどうぞ
・MITテクノロジーレビュー「Innovators Under35」のアドバイザリーボードに就任した今考えること
・そもそも田中大地って誰?筆者の経歴とプロフィールはこちら
・SMS/MIMSを退職して医療AIスタートアップで新たな挑戦を