この記事をシェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

【2023年最新版オーソライズド・ジェネリック医薬品一覧表付】AGが製薬の業界再編をもたらしうるのではと思ったので調べてみた

皆様こんにちは、田中大地です。
最近明らかに国内製薬業界に面白い流れが来ているなと感じたので、久々に医療製薬ネタについて書いてみたいと思います。

その面白い流れとは「オーソライズド・ジェネリック」(通称「AG」)です。
すっごく簡単に言うと、「先発医薬品とほぼほぼ同じジェネリック医薬品」ですね。(下でしっかり説明しますw)

アメリカでは古くから用いられてきた医薬品マーケティング手法のひとつですが、国内で個人的に初めて「オーソライズド・ジェネリック」を意識したのは、昨年協和発酵キリン社の主力製品「ネスプ」のAGバイオシミラーについて話題になったときでしたが、より強く意識したのは2016年度の医薬品売上高ランキング(下記リンク)に「AG」の名前が登場したためでした。

【2016年度 国内医薬品売上高ランキング】「オプジーボ」前年比4.9倍で2位に―トップは2年連続「ハーボニー」
http://answers.ten-navi.com/pharmanews/10218/

ご覧の通り、あすか製薬のAG「カンデサルタン」(先発医薬品名・ブロプレス)、キョーリン製薬ホールディングス「モンテルカスト」(先発医薬品名・シングレア/キプレス)が売上高ランキングTOP200入りしています。

業界の方には当然ながら、仮にもジェネリック医薬品がこうした売上高ランキングに食い込むことなんて稀有なこと(というか聞いたことない、前例あるんですかね?)なので、非常に驚き、これはちょっと凄いことが業界に起こっていそうだぞと思った次第であります。

更につい先日、Meiji Seikaファルマが同主力製品の「メイアクト」AG発売も発表し、これはそろそろ真剣に流れが来ているのではと思ってきました。

そこで、この週末、オーソライズド・ジェネリックについて色々調べてたり、考察してみたのですが、これは将来的に製薬業界の業界再編をもたらしうるのではないか、と結論に至りましたので、それについて書いてみたいと思います。(いろいろ筋違いだったら申し訳ないです。いつものように色々な方からフィードバック頂けると喜びます。)

以下、目次です。

製薬業界の構造理解:ブランドVSジェネリック

まずオーソライズド・ジェネリックの価値を理解するためには、製薬業界の基本的な構造を知っておく必要があります。(業界の方には今更な内容多くてすみません)

ジェネリックはよく聞きますよね。調剤薬局に行った際、「このお薬にはジェネリックがありますが、ジェネリックにしますか?(安くなりますよ)(日本の未来のために)」みたいな声かけをされたことあると思います。

で、基本的には製薬業界は、ブランド(先発品)と呼ばれる最初に出される医薬品VSジェネリック(後発品)と呼ばれる、ブランドと同一の成分を活用した医薬品の争いをずっとやってます。
なお、一般的に名前を知られている製薬会社、たとえば武田薬品、第一三共、ファイザーといった会社は主にブランド系製薬会社です。

ブランドは、出願から約20年~25年ほどある特許期間中(日本の場合)、独占の製造販売権を持つのですが、それが切れた瞬間にぐあーーっといっぱいジェネリック製薬会社が似たような薬を作るわけですね。売上の高い人気のブランドだと、30近い数のジェネリックが作られることもままあります。

下記は、僕の詳しいアルツハイマー型治療薬におけるブロックバスターブランド「アリセプト」(エーザイ)と同じ成分「ドネペジル」で作られるジェネリック医薬品の一覧です。

ドネペジル塩酸塩錠 医薬品一覧(リンクはメドレー医薬品辞典)
https://medley.life/medicines/prescription/compare/%E3%83%89%E3%83%8D%E3%83%9A%E3%82%B8%E3%83%AB%E5%A1%A9%E9%85%B8%E5%A1%A9%E9%8C%A0/

上記リンクの通り、50種類近い製薬会社が、アリセプトと同一成分でジェネリックを作っているのです。アリセプトは、当時、アルツハイマー型認知症に適応のある初めての医薬品として画期的とされ、売上高は世界でも年3,000億円を超える年もありました。

(なお、このように画期的な薬効を持ち、売上の高い医薬品を「ブロックバスター」と呼ぶことが多いです。10億ドル以上の売上が目安で使われます。ちなみに非常に有名なファイザーの「リピトール」は世界で、年1兆円近く売っていた時期もあります。)

そのような莫大な売上を誇る医薬品なので、ジェネリック医薬品会社も特許が切れたのを見計らってこぞって同じ成分で後発品を作るのですね。

で、ジェネリックは、薬価が(医薬品にもよりますが)ブランドの半分程度になっているので、これが出てき始めると、当然ブランドの売上が落ちていくわけです。

上記のアリセプトで言いますと、国内で最盛期の2011年度1083億円あった売上が、同年の特許切れにより2012年度724億円、2013年度650億円、2015年度405億円、2016年度295億円※と毎年のように落ちていきます。(最近の落ちは、ジェネリックのみならず、競合ブランド医薬品である第一三共の「メマリー」の躍進も大きいと考えられます。)
※数字はエーザイ社決算説明資料より

ちなみに日本はまだましで、アメリカは特許切れた瞬間引くほど売上が落ちます(パテントクリフ<特許の崖>ってやつですね)。アリセプトでいうと、アメリカで2010年度1,790億円あった売上が、特許切れた翌年2011年度に144億円となってます。1年で売上10分の1です。泣きますね。

この差は日本とアメリカの保険制度の違いに由来するのですがまたこれは面白いので興味があれば下記の本を読んでください。米国、日本の構造が対比的に説明されててわかりやすいです(いつまで経ってもオーソライズド・ジェネリックの話に入れず疲れてきた・・・)

ともあれ、日本は、ブランド・ジェネリック双方に3割負担適用になる皆保険があり、患者側に切り替え必然性が薄いため、なかなか切り替わりませんでした。
患者側からしたら、切り替えのベネフィットは医薬品の値段なのですが、もともと3割負担になるので安いんですよ。だからあんまり切り替わらない

もし皆保険がジェネリック出てるやつでブランド欲しいって言ったら、患者さん10割負担にしますよってなったら、全員ジェネリックにしますよね?アメリカはこれに近い構造になっています。だから切り替わる。

ただ、最近、このままじゃ医療費高騰しすぎて財政やばいので、国主導でジェネリックにもっと切り替えてーと頑張ってるわけですね。
ジェネリックに切り替えてくれたら保険点数を加算するよ、という形で病院、クリニックや調剤薬局にお願いしているわけです。(加算とは綺麗な表現ですが、その実は、切り替え進めないと、医療機関の売上がどんどん落ちていく仕組みを取っています。)

で、この加算の条件が、2年に1回の診療報酬、調剤報酬改定でどんどん厳しくなっているというのが今の状況です。国は財政がやばいので、とにかくブランド比率を減らすために必死なのです。

つまり、少しずつ日本の売上構造も、ブランドの特許が切れた後の売上の落ち幅が大きくなっていっているのです。
この騰落差が大きくなればなるほど、ブランド製薬会社は、特許期間中に最大の売上確保をしなければなりません。それこそ限られた特許期間中に、MRやら、学会やら、ウェブやら、それこそエムスリーやらを使って全力で新薬ブランドの認知度向上、使用率向上を狙いにいくのです。

そして、この特許切れ後の売上落下を防ぐ手段として、いまオーソライズド・ジェネリックに注目が集まっています。(ようやく本題に入れる・・・)

オーソライズド・ジェネリック(AG)とは?

先発ブランドメーカーからオフィシャルに製造販売の許諾を受けたジェネリックを、オーソライズド・ジェネリック医薬品と呼びます。

ん?、ブランドとジェネリックって敵対してるんじゃないの?なのにオフィシャルに許諾?と思われた方、その通りです。上の構造がある以上、ブランド系製薬からしたら、ジェネリックはかなり嫌な存在です。特許切れた瞬間たくさん出現し自分たちの売上を奪っていくのですから。

そのため、オーソライズド・ジェネリックは、ブランド系製薬会社の子会社や関係会社が、ブランド会社の認可を受けて製造するケースが一般的です。

たとえば、上記の売上ランキングに入っているあすか製薬は武田が主要株主ですし、キョーリンも元をたどれば、シングレア/キプレスを製造するMSDから生まれた会社です。

どうせ特許切れた後、競合の他のジェネリック会社に売上を奪われるよりは、自社の関係会社にジェネリック作ってもらってそっちに売上が移行するほうがいいよね、という発想なのですね。

オーソライズド・ジェネリック(AG)のメリット

オーソライズド・ジェネリックはオフィシャルに認可を与えたジェネリックということですが「ただ認めてるよ!」というだけでなく、大きく2つの特権が許されています。

1.ブランドと全く同じ原薬、添加物、製法、工場で製造される。

ジェネリックは、ブランドと同成分とを使っているとはいえ、患者によっては効果効能に違いが出る可能性があります。その製造方法や添加物に違いがある可能性があるためです。そのため、一部の医師においては、いまだにジェネリック切り替えを推奨しないケースもあるとはよく聞く話です。

しかしながら、AGはブランドがオフィシャルに認可しており、基本的に同一の工程で製造されるため、ブランドと全く同じ効果効能を期待できます。
医師からもまったく同効能が期待できるAGが最も安心なのです。(勿論、剤形などを工夫することによってブランド以上の価値を出しているジェネリックも多くありますし、またジェネリックのほうが効くというケースもあるそうです)

なお、下記の第一三共エスファが作成している図がわかりやすかったので引用させて頂きます。
AGとジェネリックの違い
※画像は第一三共エスファサイトより

薬価は他のジェネリックより若干高く設定されますですが、かねがね同一のレンジ(~ブランドの5割程度)に収まります。保険適用後の患者負担はほぼ気にならない程度でしょう。

2.ブランド医薬品の特許切れの半年前に発売できる。

そしてマーケティング上大きな意味合いを持ってくるのは、AGは、他ジェネリックに先駆けて半年前発売が可能という点でしょう。

半年間早く発売できるということは、半年間早く医師への情報提供も可能ということです。この間に元々同ブランドを使っていた医師/薬剤師にAGのを刷り込められれば、半年が過ぎた後も高い確率で継続的にAGが選ばれることになりそうです。

ブランド企業はどのようにオーソライズド・ジェネリックを活用すべきか

上記のメリットにより、AGの処方率は後発品におけるシェア50%以上がとれるケースも報告されています。

ブランド企業にとっては、AGの活用が今後戦略上、非常に重要となっていくのは間違いないでしょう。

しかしながら、一概にすべてのブランドでAGを発売すればいいのでは、というとこれもまた違うと思っています。当然、AGを発売すれば、より切り替えは加速しますので、薬価は大きく落ち、収益にも大きな影響が出てきます。

あくまで、ブランド品の特許が切れたときの、パテントクリフが大きい医薬品への投入、この見定めが重要ではないかと考えられます。パテントクリフが大きい医薬品であればあるほど、AGがその落ちの担保に活用できるわけです。
一方、圧倒的にブランド名が立っているケースや、その他別の理由で、ジェネリック切り替えが進まないケースにおいては、あえてAGを発売しないことも戦略的判断だと思われます。

なお、ブランド企業において、最もAGに力を入れているのが、第一三共エスファです。

まず、第一三共社の主力「オルメテック」のAG発売決定。親会社の主力を子会社が製造販売することは定石ですので驚きはなかったのですが、その後がすごい。
立て続けに、日本ベーリンガーインゲルハイム/アステラスから同主力ARB「ミカルディス」のAG発売権を獲得。その後、アストラゼネカと塩野義から「クレストール」のAG発売権も獲得したのです。

もともと競合関係にあった他ブランド製薬企業からAG発売権を獲得するというのは、きわめて稀なケースであり、かなりの交渉力が必要だったと想定されます。それだけ、AGへ力の入れ方が見れとれます。

また、第一三共エスファは下記のような啓蒙サイトも構築。オーソライズド・ジェネリック自体の認知度拡大にも注力しています。
https://www.daiichisankyo-ep.co.jp/generic/authorized/

日本国内で発売のオーソライズド・ジェネリック(AG)医薬品一覧

参考までに以下にオーソライズド・ジェネリック(AG)医薬品の一覧を掲載しておきます。(2023年12月時点)

成分名 社名 ブランド医薬品 ブランド品社名 発売月
フェキソフェナジン 日医工 アレグラ サノフィ 2013年6月
バルサルタン サンド ディオバン ノバルティス 2014年6月
ゾレドロン酸 サンド ゾメタ ノバルティス 2014年6月
カンデサルタン あすか製薬 ブロプレス 武田薬品 2014年9月
レボフロキサシン 第一三共エスファ クラビット 第一三共 2014年12月
クロピドグレル 日医工 ブラビックス サノフィ 2015年6月
バルサルタン+アムロジピン(アムバロ) サンド エックスフォージ ノバルティス 2015年12月
カンデサルタン+ヒドロクロロチアジド(カデチア) あすか製薬 エカード 武田薬品 2016年2月
カンデサルタン+アムロジピン(カムシア) あすか製薬 ユニシア 武田薬品 2016年3月
バルサルタン+ヒドロクロロチアジド(カデチア) サンド コディオ ノバルティス 2016年6月
モンテルカスト キョーリン/リメディオ シングレア/キプレス MSD/杏林製薬 2016年6月
バラシクロビル アスペン バルトレックス GSK 2016年7月
パロキセチン アスペン パキシル GSK 2016年9月
スマトリプタン アスペン イミグラン GSK 2017年1月
ホリナート 岡山大鵬薬品 ユーゼル 大鵬製薬 2017年1月
レバミピド 大塚工場 ムコスタ 大塚製薬 2017年6月
テルミサルタン・アムロジピン 第一三共エスファ ミカムロ 日本ベーリンガーインゲルハイム 2017年6月
テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド 第一三共エスファ ミコンビ 日本ベーリンガーインゲルハイム 2017年6月
テルミサルタン 第一三共エスファ ミカルディス 日本ベーリンガーインゲルハイム 2017年6月
ジエノゲスト 持田製薬販売 ディナゲスト 持田製薬 2017年6月
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(エスワンタイホウ配合OD錠) 岡山大鵬薬品 ティーエスワン 大鵬製薬 2017年6月
セフジトレンピボキシル Meiji Seikaファルマ メイアクト Meiji Seikaファルマ 2017年7月
オルメサルタン 第一三共エスファ オルメテック 第一三共 2017年9月
ロスバスタチン 第一三共エスファ クレストール アストラゼネカ 2017年9月
イルベサルタン DSPファーマバイオメディカル アバプロ 大日本住友製薬 2017年12月
ベポタスチンベシル酸塩 二プロ タリオン 田辺三菱製薬 2018年3月
ドルゾラミド・チモロール 参天アイケア コソプト 参天製薬 2018年6月
イルベサルタン+アムロジピンベシル酸塩 DSファーマバイオメディカル アイミクス 大日本住友製薬 2018年6月
レボフロキサシン 第一三共エスファ クラビット点滴静注/点滴静注バッグ 第一三共 2018年6月
ランソプラゾール 武田テバファーマ タケプロン®OD錠 武田薬品 2018年9月
ノルエチステロン・エチニルエストラジオール あすか製薬 ルナベル配合錠 ノーベルファーマ 2018年12月
ボグリボース/ボグリボースOD 武田テバファーマ ベイスン/ベイスンOD 武田テバ薬品 2019年1月
ゲフィチニブ 第一三共エスファ イレッサ アストラゼネカ 2019年3月
シロドシン/シロドシンOD 第一三共エスファ ユリーフ/ユリーフOD キッセイ 2019年3月
ブロナンセリン DSファーマバイオメディカル ロナセン 大日本住友製薬 2019年6月
ビカルタミド 第一三共エスファ カソデックス アストラゼネカ 2019年6月
アナストロゾール 第一三共エスファ アリミデックス アストラゼネカ 2019年6月
ダルベポエチン アルファ 協和キリンフロンティア ネスプ 協和発酵キリン 2019年8月
タモキシフェン 第一三共エスファ ノルバデックス アストラゼネカ 2019年6月
モメタゾン キョーリンリメディオ ナゾネックス MSD 2019年8月
リマプロストアルファデクス 日医工 オパルモン 小野薬品工業 2020年5月
エゼチミブ 第一三共エスファ ゼチーア MDS 2020年6月
セレコキシブ ヴィアトリス セレコックス ファイザー/アステラス 2020年6月
メマンチン 第一三共エスファ メマリー 第一三共 2020年6月
レボセチリジン 武田テバファーマ ザイザル GSK 2020年6月
イミダフェナシン キョーリンメディオ ウリトス 杏林製薬 2020年6月
デュタステリド 武田テバファーマ アボルブ GSK 2020年7月
ピオグリタゾン 武田テバファーマ アクトス 武田テバ薬品 2020年7月
プレガバリン ヴィアトリス リリカ ファイザー 2020年12月
リバスチグミン 沢井製薬 イクセロン/リバスタッチ ノバルティスファーマ/小野薬品工業 2020年12月
クロピドグレル硫酸塩/アスピリン 日医工サノフィ コンプラビン サノフィ 2020年12月
デスフルラン バクスター・ファーマ合同会社 スープレン バクスター 2020年12月
フェキソフェナジン塩酸塩/塩酸プソイドエフェドリン 日医工サノフィ ディレグラ LTLファーマ 2020年12月
ブリンゾラミド懸濁性点眼液 1% サンド エイゾフト ノバルティスファーマ 2020年12月
フルマゼニル ニプロ アネキセート アスペンジャパン 2021年6月
メトホルミン塩酸塩 DSファーマプロモ メトグルコ 大日本住友製薬 2021年2月
ジルムロ®配合錠LD・HD 武田テバファーマ ザクラス配合錠LD・HD 武田薬品工業 2021年6月
アムロジピン/ドキサゾシン/エレトリプタン ヴィアトリス レルパックス ファイザー 2021年3月
ソリフェナシンコハク酸塩錠 日医工 ペシケア アステラス製薬 2021年6月
パロノセトロン塩酸塩 岡山大鵬薬品 アロキシ 大鵬製薬 2021年9月
カンデサルタン 武田テバファーマ ブロプレス 武田薬品工業 2022年1月
カルベジロール 第一三共エスファ アーチスト 第一三共 2021年12月
ピルシカイニド塩酸塩 第一三共エスファ サンリズム 第一三共 2021年12月
アゾセミド 第一三共エスファ ダイアート 三和化学研究所 2022年
4月
ボルテゾミブ 第一三共エスファ ベルケイド注射用 ヤンセンファーマ 2021年12月
エルデカルシトール 東和薬品 エディロール 中外製薬 2022年12月
オロパタジン塩酸塩 サンド パタノール点眼液 ノバルティスファーマ 2021年12月
タダラフィル 日本新薬 ザルティア 日本新薬 2021年12月
モキシフロキサシン塩酸塩 サンド ベガモックス点眼液 アストラゼネカ 2021年12月
エンタカポン サンド コムタン ノバルティス 2022年1月
エソメプラゾール ニプロ ネキシウムカプセル アストラゼネカ 2022年年12月
フェブキソスタット 第一三共エスファ フェブリク 帝人ファーマ 2022年6月
トルバプタン 大塚製薬工場 サムスカ 大塚薬品 2022年6月
オメガ-3脂肪酸エチル 武田テバファーマ ロトリガ 武田薬品 2022年6月
リバーロキサバン バイエル薬品販売 イグザレルト バイエル 2022年10月
炭酸リチウム トクホン リーマス 大正製薬 2022年6月
ジエノゲスト 持田製薬販売 ディナゲスト 持田製薬 2022年6月
クラリスロマイシン・ドライシロップ小児用 トクホン クラリス・ドライシロップ10%小児用 大正製薬 2022年6月
ラメルテオン 武田テバファーマ ロゼレム錠 武田薬品 2022年9月
イグラチモド あゆみ製薬 ケアラム エーザイ 2022年12月
アザシチジン注射用 沢井製薬 ビダーザ 日本新薬 2022年6月
トスフロキサシントシル酸塩 Meiji Seika ファルマ オゼックス 富士フイルム富山化学 2022年2月
アトルバスタチン錠 ファイザーUPJ リピトール ヴィアトリス製薬 2022年12月
アジルサルタン錠 武田テバファーマ アジルバ錠 武田薬品 2023年6月
ビソプロロールフマル酸塩錠 第一三共エスファ メインテート錠 田辺三菱製薬 2023年7月
レナリドミドカプセル ブリストル・マイヤーズ スクイブ レブラミド カプセル ブリストル・マイヤーズ スクイブ 2023年12月
フルチカゾンフランカルボン酸エステル点鼻液 武田テバファーマ アラミスト点鼻液 グラクソ・スミスクライン 2023年6月
ノーベル ダイト ノベルジン錠 ノーベルファーマ 未定
シタグリプチンリン酸塩 メディサ新薬 ジャヌビア錠 アステラス製薬 未定
トレリーフOD錠 住友ファーマプロモ ゾニサミド 住友ファーマ 2024年2月
アミティーザカプセル ファイザーUPJ ルビプロストン ヴィアトリス製薬 未定
エルデカルシトール 東和薬品 エディロール錠 中外製薬 未定
ダサチニブ錠『BMSH』 ブリストル・マイヤーズスクイブ販売 スプリセル ブリストル・マイヤーズスクイブ販売 未定

なお、国内初のオーソライズド・ジェネリックは、日医工社がサノフィ社より許諾を受けて販売している「アレグラ」ですね。花粉症に苦しんでいる同士の皆様は、聞いたことあるかもしれません。(なんとなくアレグラじゃなきゃ効かない!という人もいるのでは?AGなら安心ですw)

オーソライズド・ジェネリックは調剤薬局や薬剤師にとってはメリットばかり

このAGがもたらすメリットは、ブランド製薬企業や、患者に限りません。調剤薬局にとっても追い風といえるでしょう。

先に述べたように、国の財政逼迫に伴い、調剤薬局が追っている(追わされている?)ひとつの重要指標が、ジェネリックの切り替え比率のわけです。

実際にどこの調剤薬局の決算資料を見ても、下記のようにオペレーション上の重要指標としてジェネリックの切り替え比率が載っています。

アイン決算
※画像はアインファーマシーズ決算説明会資料より

当然ながら、調剤薬局における薬剤師さんが患者さんに対して、「オーソライズド・ジェネリック医薬品とブランドは、まったく同一なんです。効能も一緒なので安心です」と言えたほうが、切り替え成功率は高まることはまずもって間違いないでしょう。

そのため、仮にAGとその他のジェネリックの仕入れ価格が共通だとすると、調剤薬局に対しては、ジェネリック切り替え難易度が下がるため、プラスに働くはずです。※

※日本ジェネリックを傘下に持つ、日本調剤には逆ザヤにはたらく可能性はあります。日本調剤にとっては、子会社のジェネリックを処方することがホールディングス全体にとって収益が高い設計になっていると想定できるため。

最も困るのはジェネリック専業製薬会社

さて、この流れに対して、ジェネリック専業の製薬会社ははかなり高い危機意識を持っているでしょう。上に述べたとおり、ジェネリックがAGに勝つためにはかなりの努力が必要になるからです。

かといって、ジェネリック専業会社は、その立ち位置上、ブランドと良好な関係を築いているケースはそこまで多くないかと想像されますので、AGの発売を行うことも難しいというわけです。

なお、日本でジェネリックで有名な会社ですと、日医工、沢井製薬、東和薬品で御三家と呼ばれます。これにMeiji Seikaファルマ(明治グループ)、日本ジェネリック(日本調剤グループ)といった会社が有名です。
なお日医工はサノフィ社と合弁会社を設立しておりますので、サノフィ社のブランドに対してAGを発売することで、この流れにはいち早くついていっています。

僕は、このAGを契機に、一定製薬業界の再編が進む可能性を考えています。具体的には、ブランド企業とジェネリック企業の買収やブランド会社有利な提携などもあるのではないでしょうか。大手はまだしも、中小のジェネリック企業にとっては、AGはあまりにも強い存在に思えます。

ここまでジェネリックに苦しめられてきた、ブランド製薬会社の逆襲が始まるのではないか、と今後の業界の動きに更に注目していきたいと思います。(7,000字以上も書いて疲労困憊です)

▼AG含め、医薬品業界構造理解のための最初の一冊におすすめ!読み直しにも最適です!

▼いま一番人気の記事
【随時更新】医療ヘルスケア業界でビジネスする人におすすめの本まとめ

▼こちらもどうぞ
Newspicks専門家に選ばれました!医療・介護のリアルについてコメントしています。
シンガポール住んで1年が経った今、『一生を賭ける仕事の見つけ方』を読み思うこと。
そもそも田中大地って誰?筆者の経歴とプロフィールはこちら
ジョブホッパーはアジアへ出よう。アジアの人材市場と転職マーケット

4.74/5 (119)

良いと思ったら★をつけてください!

この記事をシェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

ブログの更新情報をフォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。