イギリス、EU離脱するってよ・・・。
皆さま同様まさかそんなことと踏んでいた私の株ポートフォリオは「ガンガンいこうぜ」にコマンド指示していたので一晩にして血まみれです。当分はタイ米と梅干しとホーカーセンターだけで食事します。。
ただこればっかりは引きづっていてもしょうがないので、今日はアジアにおける人材と組織作りについて考えてみたいと思います。
アジアはジョブホッパーばかり
最近自分の業務における採用にかける比率が急激に高まっておりまして、週に50本くらいCV(履歴書)を見て、10人面接をして、といった日々を過ごしています。この半年で累計300本近い履歴書を見て、50人くらい面接をしてきましたが、こちらでの傾向として、やはりとにかくジョブホッパーが多い。
29歳で5社、最長社歴1年3か月のマーケティングエグゼクティブみたいな履歴書が全体の6割を占める印象です。(日本のジョブホッパーの皆さま、アジアに出ればたくさんチャンスはありますよ。)
もう日本企業だったらどこも受からないでしょうという履歴書で、当然日本人の僕からしてみれば、29歳で5社経験しています、みたいな人は、すぐに辞めてしまいそうで不安で採用できません。
最初はカルチャーだからしょうがないのかなと、そういった方を面接してみても、優秀な人が来る確率は非常に低かったため、最近は足切りの方法として使っています。29歳以下なら3社以内、のような感じです。
なおシンガポール人の上司も、「こいつはジョブホッパーだから心配」みたいなことを言っていたので、一定このあたりはカルチャーとも言い切れず共感ポイントがあるのかもしれません。
ここまで転職が根付いているのは、ローカルの友人の話によると、基本同じ会社にいてもそこまで給与が上がらず(年間1,000ドル程度?)、一方で転職すれば年間3,000-5,000ドル上がるので転職をするのだ、というのです。
上記の話が実態で、優秀な人材を繋ぎ止めておけないのであれば非常に問題です。同じ轍を自社では踏まないように、優秀な人材がしっかり評価され、リテインする仕組みを構築しなければなりません。一方で、上記の話は統計をとったわけでなく、パフォーマンスしていないから上がらないだけ、という説も十分濃厚です。実際優秀な人を会社が簡単に手放すはずもないでしょうし。
採用フローに組み込まれているLinkedin
このような人材と組織作りについて強く考えているときに、MicrosoftがLinkedinを買収するというニュースが流れてきました。262億ドルという、インターネット業界においてはちょっと信じられない規模の買収になります。
日本人の間ではまだいまいち根付いていないLinkedinですが、こちらではビジネスマンの交流・転職・採用プラットフォームとして完全に確立しております。
採用フローにも組み込まれていて、採用担当者が履歴書を見て、よさそうだなと思ったら候補者のLinkedinをチェックします。感覚では8割くらいは名前Google検索でLinkedinのページが引っかかってきて、より詳細の情報や他者からの評価が見られるわけです。
なお、Linkedinではみんな盛り盛りの俺イケてるでしょ情報書きまくるので話半分に見ておくのですが、このあたりが謙遜文化の強い日本人には抵抗があるのかもしれません。
また進んでいる企業では、人事担当者が自ら、Linkedinを使ってダイレクトソーシングをしている事例も多いです。このあたりは日本でもビズリーチを使って自らソーシングを行っている企業もありますね。
ちなみにLinkedinでメッセージを送付するためには、有料アカウントに登録する必要があるのですが、月額1万円程度と非常に低額で利用することが可能です。ターンオーバーも高いため、一回当たりの採用コストは日本と比べて安価に設定されています。
人材紹介会社もLinkedinをフル活用
このLinkedin買収のニュースが流れる前日に、人材会社から紹介を受け面接をしたある候補者から聞いた話がなかなか驚きでした。
その方は現在3社目で、3社目はまだ働き始めて6か月くらいでした。
起業経験もあり圧倒的に優秀そうではあったのですが、わずか6か月で面接を受けに来たので、ジョブホッパーに見えることが懸念でした。
そこで、なんでそんなパフォーマンスしているのに転職を考えたの、と聞いたところ、返ってきた答えが、「私だって転職は考えてないわ!でも○○人材紹介会社からLinkedinを見て、こんな会社があるから受けてみないかと強く説得されたの」、というのです。
この答えに、Linkedin、こんな風に使われているのか!と大層驚いたものです。
つまり、人材紹介会社に依頼した際、彼らの登録プールから紹介を受けているのかと思っていたのですが、実際は彼ら自身もLinkedinで適した候補者を探して面接に送り込んでいるというのです。
この背景には個々人の転職意向の大きな違いによるものでしょう。前述したようにこちらでは給料を上げるための転職はカルチャーとなっており、常に転職に対してオープンの状態にあります。いわゆる就社の精神はそこまで強くありません。
一方で日本では転職意向があって初めて人材紹介会社に相談にいく、転職サイトに登録する、もしくは登録済みの転職サイトを意識的に見始めるというが一般的です。転職に対するスタンスが全く違うわけです。
最近よくこちらの人材AGTと会うのですが、某日系大手AGTの方によると、
・Linkedinのようなオープンプラットフォームからのソーシングと人材登録プールからの紹介は1:1くらい。
・前者はこの会社のこの人といった名指し、もしくは○○の事業TOPの人が欲しい、という一本釣り採用の比率がほとんど。
・大体現在の給与の10%-15%上積みすればまず7割-8割はNoと言わないで引っ張ってこられる(多くの人が給与に動機づいている)。
というような状態らしいのです。
ここまで聞いたうえで、自己の経歴をオープンに登録させるLinkedinのプラットフォームの偉大さをあらためて実感しましたし、Microsoftがあれだけのバリューをつけた意味も少しはわかってきます。
日本でも就職か就社かという議論が盛り上がっていますが、今後どう変わっていくのか、楽しみにしていきたいものです。
日本流の愛社精神は大事
一方で、組織を作る立場としては、信頼できるメンバーと長期で頑張っていきたいなと思うわけです。
実際いまのメンバーたちが、いい話来たので、と2週間ノーティスでぽいっと辞められてしまってもしんどいですし、その前提だと育成にコストをかけられないので、お互い不幸になってしまうと思うんですよね。持続可能な組織作りは程遠くなってしまう。
ここにおいては、いくらグローバルスタンダードと違うと言われても、日本流の愛社、愛チーム精神は、組織力向上においては大事なものだと思っています(というよりこちらで働いてその意識をとても強くした)ので、たとえ他社から給料上積みされても、Daichiのもとで働きたい、とメンバーから言ってもらえるような組織作りをしていきます。
加えて、実績を残せば、しっかり給料アップも含めた、キャリアパスが期待できるということを、仕組み作り+コミュニケーションの両輪で伝えていかなければな、とあらためて強く思うのです。
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