こんにちは、アジヘルさんです。
いまは宮古島から大自然リモート中です〜。もう12月だけどTシャツで過ごせるの神。
あまりに滞在先の環境が良すぎて、結局ホテルから出ずに仕事し続けていますが。笑
宮古島のリモート環境。デスク借りて、バルコニーでこれ。
ちょっと待って天国なの?#大自然リモート pic.twitter.com/NpAR9mQlgH— アジヘル@宮古島から大自然リモート中 (@healthcareITSG) November 24, 2020
さて、少し間が空いてしまいましたが、前回大反響頂いたメドレー「Pharms」記事に続き、9月号のヘルステック業界ニュース第二弾、海外編に行ってみたいと思います。
今回は、注目の米国のオンライン診療大特集です。
新型コロナの感染者が増え続ける米国で、本ブログでも紹介していたTeladocに続いて、オンライン診療サービスを提供するAmwell(American Well)がIPO及びTyto Careとの連携を発表しました。
▼Amwell Announces Launch of Initial Public Offering
https://business.amwell.com/press-release/amwell-announces-launch-of-initial-public-offering/
▼Amwell Expands Partnership with Tyto Care to Extend Healthcare at Home
https://business.amwell.com/press-release/amwell-expands-partnership-with-tyto-care-to-extend-healthcare-at-home/
日本の先行事例として、米国のオンライン診療の状況をウォッチしておくと良いと思いアジヘルブログでもここのカバーに力を入れていきたいと思います。
今まではTeladocを始めとして、Intouch Health,Livongo Health等遠隔医療におけるプレイヤーをウォッチしてきましたが、今後アジヘルブログでは、Amwellのウォッチを開始するとともに、本記事ではAmwellにフォーカスして解説してみます。
参考 ▼関連記事
・米国最大のオンライン診療Teladocが、Livongoを2兆円で買収!【ヘルステック業界ニュース8月号(海外編)】
・TeladocがIntouch Healthを買収! IoMDが創り出すオンライン診療の未来とは
Amwellの事業概要
IPOの発表により一気に存在感をましたAmwellですが、米国最大のオンライン診療提供企業であるTeladocとの比較から、その創立、事業概要について見てみましょう。
Amwellの創立は2006年
Amwellの創立は2006年、サービス開始は2007年と、Teladocの2002年に比べると新しいとはいえ、両社共にオンライン診療が世間で注目されるはるか前から事業を展開しています。
そう考えると、オンライン診療が本気でブレイクスルーするのに、アメリカでも10-15年近くの時間がかかっているわけですね。日本は遅れているといいますが、少し急ぎすぎなのかもしれません。
Amwell社の事業規模
それぞれ、以下のような提携事業者数、登録者数を誇ります。
Amwellは米国を拠点としているのに対し、Teladocは米国拠点ながら世界中175カ国40ヶ国語で展開しています。また、両社共に企業や保険事業者との提携をしています。
これらを通した登録者数は、Teladocは5,150万に対し、Amwellは8,000万とAmwellが上回っている一方、提携機関(医療機関、企業)に関しては、Teladocは米国最大の薬局チェーンのCVSや米国の退役軍人省、Philips、T-Mobile、Microsoft等、Amwellはこちらにあるように米国各州の医療機関連合、企業だとAdecco、Oracle等と提携しています。
展開する国や地域、提携病院数でははやりTeladocが圧倒的なシェアを誇る一方、雇用先の保険事業者等を通じた受益者はAmwellで8,000万人と、米国においてはTeladocをも凌ぐ数を誇ります。
※両社のカウント方法が異なる可能性もございますので、詳しい方いらっしゃったら是非教えてください!
収益の観点ではAmwellは2020年上期のRevenueで$122Mに比べ、Teladocは同期間で$422Mと、圧倒的な差があります。時価総額は、記事執筆時点(11月末)でAmwellが$5.21B、Teladocが$28.47Bと、5.5倍の差があります。
事業の特徴
では、Amwellの特徴について見ていきましょう。
EHR連携に強み
【出典(Amwell Connect EHR)】https://code.cerner.com/apps/amwell-connect-ehr
Amwellは、事業の主軸となるオンライン診療そのものの他に、EHR(電子医療記録)、即ち電子カルテや医用画像システムとの組み合わせを強みとしており、これにより対面診療とオンライン診療との垣根が低くなり、患者が複数医療機関を受診しても診療データを一貫管理できるというメリットが生まれます。
一方、Teladocだと今年7月に、医用ロボットや医用画像、電子カルテ等管理ツールを併せ持つ遠隔医療のプラットフォーム的存在としてEHR連携の実現に向かっています。
▼ 参考 TeladocによるIntouch Health買収(過去記事)
Cisco、Googleとの協業
事業規模やシェアの上ではまだTeladocに及ばないAmwellですが、なんといっても注目したいのが提携戦略です。
2019年のCiscoとの協業においては、今までPCやスマホなどの端末に限られていたオンライン診療を、テレビ媒介でも可能にすることで、高齢者層の利用を促進することを発表しました。【参考】
これは、同年にアメリカの高齢者、障害者向け公的保険制度であるMedicareから発表があった、3分の1が加入するMedicare Advantageプランに対して、オンライン診療サービスを享受可能にするという変更を受けたものですが【参考】、遠隔医療の大きなハードルである「ITリテラシーの低い層へのアプローチ」の問題の解決に向け、意義ある前進であると考えます。
一方、Googleとの協業においては、本年8月に、Google CloudがAmwellへ1億ドルの投資を発表しています。同社の持つ人工知能や機械学習を使い、例えば待合室機能や当事者間翻訳、支払いなど日常業務などへの支援が検討されています。Googleは遠隔診療のパートナーとして、Amwellを選んでいるという点は注目ですね。【参考】
Tyto Careとの協業
さらに、上記リリースにある通り、Tyto Careとの協業について見ていきましょう。
Tyto Careは心臓や肺、皮膚や心拍数等様々な項目のオンデマンド検査を可能にする家庭用デバイスを提供しています。下記写真の様に、家にいながらにして、医師は諸々の部位を視診することができます。
【出典】https://www.startuphub.ai/startups/tytocare/
また、遠隔診療の観点では、医師とつないでのライブビデオ検査や、訪問診療のスケジュールが可能なアプリ、デバイスにより得たデータのリポジトリを提供しています。
両社は2016年より提携していましたが、今回改めて提携の拡張を発表しています。
具体的には、Tyto Careの医療機器をAmwellのオンライン診療プラットフォームと連携させ、診療中に患者の諸項目の検査項目、バイタルデータを確認できるようになります。加えてAmwellが、Tyto Careの医療機器の販売も担うとのことです。
Sage Growth Partnersが発表した調査によると、調査対象の医師の大半が、来年オンラインでの診療が全体に占める割合は10%未満であろうと回答したようです。
この様にオンライン診療は、診療により得られる情報が対面診療に比べ少ないことが長年課題でしたが、今回の両社の提携強化は、対面とオンラインの垣根をなくすソリューションとして期待できそうですね。自分がずっと言い続けているIoMDの時代をまさに見据えた動きだと思っています。
▼ 参考過去記事
IoMDが実現する真のオンライン診療の形
さて、今回も盛りだくさんになりましたが、Amwellの紹介&Tyto Careとの協業について書かせて頂きました。次回からは、今まで見てきたTeladoc、Livongo Healthに加え、Amwellもウォッチしていくので楽しみにしていてくださいね!
ヘルステック業界最新ニュース9月号まとめ
⇒メドレー編:「Pharms」をローンチ!オンライン服薬指導の勝者も近い?(https://healthcareit.jp/?p=5790)
⇒Amwell編:オンライン診療で上場! Amwellをがっつり紹介!(本記事)
⇒メドピア編:日医工との合弁設立、「kakari for Clinic」を徹底考察!(準備中)
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