この記事をシェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

米国最大のオンライン診療Teladocが、Livongoを2兆円で買収!【ヘルステック業界ニュース8月号(海外編)】

アイキャッチ画像

こんにちは、アジヘルさんです。
ヘルステック業界最新ニュース8月号、メドピア編MDV編とお届けしてきました。
いよいよ8月最大級のビッグニュース、Teladoc/Livongo Health編です!

8月の海外ヘルスケア3社BtoB時価総額まとめ

いままでウォッチしてきた海外医療ヘルスケアITの企業はTeladoc,Veeva,平安好医生の3社でしたが、10月からはLivongo Healthが加わります!

企業名 2020年8月
時価総額 予想PER 前月比(%)
Teladoc health[TDOC] 19,585 133
Veeva Systems[VEEV] 35,358 128.4 114
平安好医生[01833] 141,310 112

※ TeladocとVeevaの時価総額の単位は百万ドル
※ 平安好医生の時価総額の単位は百万HKドル

米Teladoc Healthが、糖尿病など慢性疾患のモニタリングで知られるLivongo Healthの買収を発表!

8月5日、世界の遠隔医療業界でも随一のビッグニュースがありました。

米国最大のオンライン診療サービス提供企業であるTeladoc Health(以下 Teladoc)が、糖尿病や高血圧等慢性疾患のモニタリング及びコーチングを実施し、同じく米国のデジタルヘルスの雄と言われるLivong Health(以下 Livongo)の買収を発表しました。

Teladocは、こちらの記事でも触れたように新型コロナを受けて近頃急激に業績を伸ばしていますが、それでも自社の時価総額をも超える183億ドル≒2兆円弱でのLivongo買収は、ヘルステック業界を震撼させるニュースだったと思います。

少し話はそれますが、自分の中ではTeladoc=スタートアップという印象が強かったため、自分も1スタートアップをやる身として、自分の企業よりも高い時価総額の企業を買収するという選択肢が、現状では全く思い浮かぶ気がせず、ただただ自身の視座の低さを感じました。

さてこの記事では、本ブログでも初出となるLivongo社がどれほどの事業を行っているのかから、おさらいしていきたいと思います。

Livongo Healthについて

1.創業、資金調達

Livongoの創業は2014年と、2002年創業のTeladocに比べ比較的新しい企業です。
その後累計245億円もの資金調達を成し遂げ、2019年にはNASDAQに上場(上場時時価総額は2,860億円!)するなど、急激に成長を遂げています。

2020年の1-8月までの日本のヘルスケアスタートアップ企業の資金調達額は78社で280億円であることを考慮すると、驚くべき金額だと言えます。

2.事業内容

モバイルアプリや専用デバイスを活用し、糖尿病や高血圧、精神疾患などいわゆる慢性疾患患者の日々のモニタリング、必要に応じコーチングサービスを提供しています。主にBtoB向けに事業展開を展開し、企業の雇用主やヘルスプラン単位での加入が主とのことです。

これらの疾患患者がどれだけいるかが対象マーケット市場の大きさを決める一要素となりますが、
例として米国の公衆衛生機関であるCDC(Centers for Disease Control and Prevention)によると、2018年時点で3,420万人、すなわち米国人口の10%以上が糖尿病に罹患しているとのことです。

▼患者向けデバイス
Livongo-patient.png (460.4 kB)

▼医師側のデバイス(奥のタブレット)
Livongo-doctor.png (524.1 kB)

3.M&A

2017年には糖尿病患者が血糖値を自らアプリ管理するサービスを持つDiabetoを買収したほか、2018年には減量をサポートするRetrofit、
2019年には精神疾患の行動療法を提供するmyStrengthを買収してきました。

この様にLivongoは、買収により着々と精神疾患や行動療法領域へと事業を拡大してきました。

4.Livongo Healthの最新の決算は?

Teladocによる買収直後に2020年のQ2決算が発表されました。
それによると、売上高は第1四半期6,880万ドルから9,190万ドルへと急増し、糖尿病患者の登録者数も3月末の33万人から41万人に増えたということです。

2019年度の第4四半期に20万人程だったことを考慮すると、わずか半年で会員数が倍になっていることがわかります!

Diabetes-member.png (114.4 kB)

出典はこちら

Teladoc HealthによるLivongo Health買収

ここまでざっとLivongo Healthの事業についてご紹介してきましたが、両社が今回M&Aに至った背景と内容を纏めてみます。

1.買収に至るまで

米国におけるデジタルヘルスベンチャーの2強とも言える両社は、実は数年前から連携を模索していたようです。

なかなか話がまとまるきっかけを見つけあぐねていたところ、今回の、新型コロナ流行下で、慢性疾患の遠隔診療のニーズが増大したことをきっかけに、Teladoc CEOのJason Gorevic氏とLivongoのFounder/ChairmanであるClen Tullman氏の間で買収の話が進んだとのことです。

CNBCによる両者のインタビューによると、両社の買収の動きは約3年程度早まったとのことで、遠隔診療、慢性および精神疾患の遠隔モニタリングを得意とする各々が競合するのではなく、提携により医療そのもののパラダイムシフトを図り、患者が自らの手で自身の健康を管理できるようにすることが今回の統合のねらいである、と述べています。

2.買収の詳細

そして、2020年8月5日、Telacocが183億ドル≒2兆円弱でLivongo Healthの買収を発表しました。この金額は、Livongoの時価総額はもちろん、Teladocのそれをも超える金額での買収となります。

2019年の日本企業のM&Aの金額を見ると、1位のアサヒグループですら1兆2,000億円なので、Livongo買収がどれだけの規模なのかおわかり頂けるかと存じます。

買収発表後の各社の株価推移は、以下グラフにあるように、Livongo時価総額はM&A前125億ドル⇨M&A後116億〜約137億ドルの間と、非常に不安定ですが、M&A前に比べ上昇傾向にあります。

一方でTeladocについては、M&A前170億ドル⇨M&A後140−150億ドルと急落し、9月に入って徐々に持ち直してきました。

▼Livongoの時価総額
LivongoMarketCap.png (127.8 kB)

▼Teladocの時価総額
TeladocMarketCap.png (140.9 kB)

買収スキームとしては、株式交換と現金買収の組み合わせの方法を取っています。
メリットは、買収時に相当額の現金を持ち合わせていなくても買収が可能で、将来の株価成長が期待できる企業にとっては魅力的なスキームになっています。

双方の株式の合計のうち、Teladocが58%を保持する形で、これは製薬業界でも記録に残るM&A、武田&シャイアーのケースと同じ買収方法です。

3.買収に踏み切った理由

つい最近も、シャイアーの買収時借入金を賄う目的で武田が事業売却をどんどん進めているように、そもそも自社時価総額を大きく超える買収は、Teladocにとっては大きなリスクとなります。

それでも買収に踏み切った背景としては、Livongo Healthの持つ豊富な患者(顧客)、そして日々の生活における行動変容のアプローチの強みが魅力的だったからではないでしょうか。

オンライン診療と相性のよい、定期的な管理を必要とする糖尿病をはじめとした慢性疾患患者とのつながりは、Teladocにとって非常に魅力的に映ったのでしょう。

Livongoのサービスに登録する40万人以上の糖尿病患者が、各種Livongoデバイスを活用しながら、自身の医療データをクラウド上にアップしている状態ですので、ここにTeladocが組み合わされば、データを見ながら必要なときにオンライン診療を推奨するといったアクションが可能になります。

また、生活における行動療法の分野でも知見のあるLivongoと組むことで、Teladocは短期的なオンライン診療にとどまらず、長期的な患者管理が可能になり、両社の目指す医療のパラダイムシフトに貢献しうると考えます。

以上、TeladocによるLivongo買収について考察してみました。デジタルヘルスのGiant同士が手を組み、これからの医療がどうなっていくか引き続きアジヘルブログでウォッチしていきたいと思います。

注目 8月 海外医療ヘルスケアIT その他注目のニュース
▼Teladoc
NTCA, Teladoc Health Partner to Bring Mental Health Services by Phone, Video to Rural Communications Provider Members
https://teladochealth.com/newsroom/press/release/ntca-teladoc-health-partner-to-bring-mental-health-services-by-phone-video/
▼Veeva
Veeva to Release Fiscal 2021 Second Quarter Results on August 27, 2020
https://ir.veeva.com/investors/news-and-events/latest-news/press-release-details/2020/Veeva-to-Release-Fiscal-2021-Second-Quarter-Results-on-August-27-2020/default.aspx
▼Veeva
Veeva Announces Fiscal 2021 Second Quarter Results
https://ir.veeva.com/investors/news-and-events/latest-news/press-release-details/2020/Veeva-Announces-Fiscal-2021-Second-Quarter-Results/default.aspx
▼平安好医生
平安好医生のオンライン診療システムに関する記述
https://www.jk.cn/aboutUs/news/124
▼平安好医生
多くの専門疾患分野のリーダーや有名な医師と協力して、有名なドクタースタジオと呼ばれる革新的なインターネット医療モデルを立ち上げ、ユーザー向けの専門的な医師と患者のコミュニケーションブリッジを構築
https://www.jk.cn/aboutUs/news/125
▼平安好医生
2020年上半期のレポートを発表
https://www.jk.cn/aboutUs/news/126

さて、以上でTeladoc/Livongo編を終わりにしたいと思います! 次回はいよいよ8月最終号、【DeNA/データホライゾン、ブティックス編】もお楽しみに!!

ヘルステック業界最新ニュース8月号まとめ
①薬局DX化なるか?メドピアのkakariがスギ薬局1,000店舗へ導入
②MDV決算特集!MDVデータの優位性とは?
⇒③米国最大のオンライン診療Teladocが、Livongoを2兆円で買収!(本記事)
④データホライゾン、DeNAとの資本業務提携で株価急騰

->ヘルステック業界最新ニュース頑張って毎月更新中!過去の定点観測はこちらのまとめよりどうぞ

▼いま一番人気の記事
【随時更新】医療ヘルスケア業界でビジネスやる人へのおすすめ本まとめ

▼こちらもどうぞ
MITテクノロジーレビュー「Innovators Under35」のアドバイザリーボードに就任した今考えること
そもそも田中大地って誰?筆者の経歴とプロフィールはこちら
SMS/MIMSを退職して医療AIスタートアップで新たな挑戦を

4.7/5 (10)

良いと思ったら★をつけてください!

この記事をシェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

ブログの更新情報をフォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です