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【全文掲載】『研究開発リーダー』寄稿 「withコロナ時代におけるヘルスケアビジネスを考える」

withコロナ時代のヘルスケアビジネスを考える

こんにちは、アジヘルさんこと田中大地です。AI医療機器スタートアップのアイリスでCOOを務めています。
また新型コロナの感染が、街中に増えてきましたね。みんな安全に暮らしていきましょう。

さて、最新テクノロジーを事業に活かすための月刊誌『研究開発リーダー』6月号がヘルスケアビジネス総力特集ということで、僕も執筆依頼を頂き、「withコロナ時代におけるヘルスケアビジネスを考える」という内容で寄稿いたしました。

『研究開発リーダー』本誌は、こちらのURLから購入頂くか、図書館などで閲覧ください。

研究開発リーダー目次

※目次より一部抜粋



さて、僕の記事について二次転載の許可を頂いておりますので、本ブログにて、無料・全文公開したいと思います。パチパチパチ。

4月末に書いた記事なので、現在とは少し情勢も異なりますし、これ以降自分の思考もかなりアップデートはあったのですが、当時考えていたことをしっかり表現できた記事になっていると思います。

また、本文で提唱しているIoMD(=Internet of Medical Device)は、その後、加入しているDTx研究会でも、IoMDワーキンググループを発起人として立ち上げ、WG長を務めることとなりました。
こちらもWGメンバーとともに調査を重ね、ルールメイクから取り組んでいきたいと思いますので、発信も増やしていければと思いますので、楽しみにしていてください!

では本文いってみましょう!

withコロナ時代におけるヘルスケアビジネスを考える

はじめに

本記事を執筆している4月末時点、新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、我々の生活も大きく変わりました。

この危機の一刻も早い終息を願い、また現場の最前線で働く医療者には感謝と尊敬の念を改めてお伝えします。

同時に、事業を考えるものとしては、コンティンジェンシープラン、すなわちこの状況がしばらく改善しなかった場合に、どう企業を存続させるのか、について考えなければなりません。

危機は常に既存システムを破壊し、イノベーションのきっかけをもたらす契機でもあります。次の時代のインフラ・スタンダードがどういったものか未来予測に思考を巡らせたいものです。

本稿では、withコロナ、afterコロナ時代における状況変化を踏まえて、次にくるヘルスケアビジネスについて考えてみたいと思います。

最注目はオンライン診療

Withコロナ時代における、医療領域の次のインフラと聞けば、まず一番最初に思い浮かぶのは、「オンライン診療」ではないでしょうか。メディアでも毎日のようにオンライン診療の言葉が並び、業界外の方でも注目度が高まっていることは感じるところでしょう。

これまで諸外国の状況と比較しても、医療アクセシビリティの違いなどにより、日本におけるオンライン診療は相当遅れており、注目度の高さと裏腹に、根付くのには時間がかかっておりました。

これが、コロナの流行という誰も予測しなかった理由により、おそらく5年早く社会実装がされつつあります。

一時的に、オンライン診療の初診が許可され、保険点数も広く付いたこともあり、サービス提供する各社には問い合わせが鳴り止まない状況だという話を筆者も聞いております。

実際に、Googleでオンライン診療と検索されたキーワード数は約8倍(下図)に登っています。オンライン診療サービスcuronを提供するMICIN社は4月時点で累計2,500軒の医療機関からの導入申込みがあったと発表、2月時点が1,700軒だったのに対し、わずか2ヶ月で800軒も申込件数が増えたことになります。


スクリーンショット 2020-04-28 23.09.07.png (52.7 kB)

オンライン診療が根付くために

さて、オンライン診療は、ここからどうかなるのでしょうか?

初診や保険点数の時限措置の影響もあるでしょうが、持論としては、Withコロナ時代にオンライン診療を患者・医療者双方がどれだけ経験し、便利さを感じたかどうかにかかっていると考えています。

これはリモートワークからもアナロジーできますが、仕事でリモートワークを経験する中で、なんだリモートでも十分に回るじゃないか、と気づいた方は、コロナ収束後も、フルリモートやリモートワーク積極活用をする企業が増えるでしょう。同様にオンライン診療も、一度患者・医師ともに便利さを体感してしまえば、規制云々ではなく、もうない時代には戻れなくなります。

まさに米国で起こった遠隔診療浸透の歴史であり、「ゼロがイチになる経験」のシステム変化へ与える影響は大きいでしょう。 ゆえに、オンライン診療サービスを提供する企業には、この機会に参画件数を増やすだけでなく、しっかりオンボーディングを意識し、医療機関、患者双方に便利なユーザー体験を増やしていってもらうことを実現していく姿勢が重要です。

ゆえに現時点では、オンライン診療サービス各社の公表している医療機関参画件数と、実際にオンライン診療を開始している医療機関数の差を感じますし、経験したことのある患者もマイノリティでしょう。

海外サービスの多くがそうであるように、公表数字も、医療機関の申込件数ではなく、オンライン診療の「実施数」で測っていくことが、オンライン診療が次のインフラになるかが肝だと考えています。

「医療のロケーションの変化」がキーワード

ところで、オンライン診療に事業機会があるかと私もよく相談を受けるのですが、Yesとは言いづらい状況です。既にプレイヤーも多く存在し(知っているだけでも10以上の企業がすぐにあがります)、LINEとエムスリーのJVであるLINEヘルスケアもオンライン診療を開始する、というリリースも出ています。相当に強いアセットがある会社でないと、新規の参入機会があるとは言いづらい状況です。

そこで視野を広げて、事業機会を探索してみると、コロナの流行により、「医療のロケーション変化」が加速している、という現象に気づけるかが鍵と言えます。

もともと、この十数年、医療は技術進化の影響を受け、「ロケーションの変化」を続けてきました。

例えば、インターネットの発展や医療機器のポータビリティ化といった技術革新によって、医療のロケーションは、「病院→診療所→自宅」へと広がってきました。遠隔診療も、技術革新に伴うロケーションの拡大の流れの一部と捉えると全体感が見渡しやすくなります。

そうしたロケーションの拡大の流れを、本感染症の流行が一気に加速させました。

つまり、医療機関で対面で医療にかかること自体が「リスク」、という考えが生まれ、「医療の在宅シフト」が一気に求められるようになったのです

これまでの「在宅医療」といえば、通院の難しい後期高齢者向けといった印象が強かったのですが、コロナの流行をきっかけに、この対象が拡大し、通院できる人も対象になりました。こうした「自宅で医療」という形を考えたときに、そこには事業機会が多く眠っているといえるでしょう。

AIによるモニタリング

そうしたロケーションの変化を捉えたときに、どういったヘルスケアビジネスが成立するでしょうか。

たとえば、モニタリングAIのニーズが高まると思っています。

これまで医療AIといえば、医師の業務効率化や見落としを防ぐ診断(支援)AIが最も注目されていました。しかし疾患のYes/Noを判断する確定診断には、五感による診察や画像情報など多くの情報インプットが必要で、そうした情報は医療機関でしか集まらないことが多いという現状です。

感染症流行化で、求められるのは、確定診断ほどの精度ではなくとも、対面診療に感染リスクがある中で、本当にいま対面診療をするべきなのか(医療者視点)・受けるべきなのか(患者視点)を事前にスクリーニングするAIです。これをAIで実現できれば、これまでの診断AIとは別の価値を提供します。

たとえば慢性期疾患を抱える患者が、バイタルデータや行動習慣データ、画像データなど、AIの判断に必要な情報をインプットし、悪化リスクをモニタリングしながら、オンライン診療だけでよいのか、それとも通院や緊急の医師の訪問が必要なのかをAIが判断する、といった具合です。

IoMDが増加

もうひとつ、医療の自宅シフトが進んだ際の事業機会をあげてみましょう。筆者の提唱している概念で「IoMD」も、withコロナの次代に大きく増加していくことが予測されます。

IoMDとは、「Internet of Medical Device」のことで、インターネットに接続され、遠隔や在宅の利用シーンを想定した医療機器のことです。 スクリーンショット 2020-04-28 18.15.56.png (84.3 kB)

現状は、まだネットワークに接続された医療機器は稀ですが、医療機器のポータブル化とセットで、医療の自宅シフトには必要な要素になります。

たとえば、訪問看護の方が自宅でIoMDポケットエコーを使うと、リアルタイムで遠隔の医師に情報が連携され、緊急度の判断に使われる、といった具合です。

現在の遠隔診療の最大の課題は、対面と同レベルの情報が得られないことですが、こうしたネットワーク接続デバイスが増えていくことで、感染リスクが少ない中で対面に近い医療が実現できていくのです。

IoMDが広がっていく過程においては、医療機器メーカーだけでなく、ハードウェア/ソフトウェア開発・通信・セキュリティ・流通といった多くのプレイヤーが絡みます。コロナの流行という危機によって大きく医療の形が変わろうとしている今、各社が連携を強化していき、次のインフラを作っていくことが大切だと考えています。



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