皆さんお久しぶりです、アジヘルさんです!
ヘルスケアビジネス界隈は全員驚愕したと思いますがオムロンがJMDC株式33%を1,119億円で取得し、JMDCの主要株主になるというめちゃくちゃ衝撃的なニュースが出たので、今回はその提携について久々にアジヘルブログを書いてみたいと思います!
▼JMDCからのリリース
オムロン株式会社との資本業務提携、株式の売出し、並びに親会社、その他の関係会社及び筆頭株主である主要株主の異動に関するお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4483/tdnet/2089104/00.pdf
▼オムロンからのリリース
株式会社 JMDC との資本業務提携契約の締結に関するお知らせ
https://www.omron.com/jp/ja/ir/irlib/pdfs/20220222j.pdf
そして冒頭からいきなり脱線しますが、最近自分の中で勝手にアウトプットの基準を高く持ちすぎて、アウトプットが減っちゃっていたことを反省しています。(全然ヘルスケアニュース更新しなくてごめんなさいmm)
よくある話ですがアウトプットが減ると、より書くのが億劫になり更にアウトプットが減るというネガティブループを繰り返してしまっていたので、今後はクオリティは多少低くともしっかりアウトプットするように戻していきたいなーと思っております!
今後は2時間で1記事を勢いで書ききって校正も時間かけずにさくっと出すようにしたいなと(というわけで文章の雑さとか多少の内容間違いは許してね)
デバイスxデータの融合でIoMDの時代が本格的に到来する!
さて話を戻しますが、僕はたぶんこの2社の資本業務提携について当事者以外では一番興奮している人のひとりなんじゃないかと自負しています。
というのも、この提携はまさに「デバイス」と「データ」の国内TOPプレイヤー2社が手を組み融合していく中で、ついに自分がずっと言い続けていた本格的にIoMD(Internet of Medical Device)の時代が来るぞ、と感じているからなんですね!
▼IoMDについてはこちらの記事に詳しいので是非お読みください!
僕は2019年にドイツのMEDICAに行き世界最先端の医療機器を見てくる中で、世界は完全にIoMDが主流になっているのを目撃し、この流れは日本でも絶対くるぞと言い続けてきたのですが、意外と2年経った今眺めてみてもそんなに大きく変わった感がなくて、日本だと思ったより時間かかるな、と思ってたんですね。
想像以上にIoT Medical Device+Telemedicine+AIが世界では普通になってる!自分たちでしかとれないデータの利活用も前提。スタートアップピッチの7割がそれで衝撃。
日本ではまだ先端かもだけど、同じ土俵だと世界ではもう、またそれね、になる!!今気づけてよかった!#MEDICA #IOTWTIWC pic.twitter.com/JVFKddIZXl— アジヘル@AI医療機器アイリスCOO (@healthcareITSG) November 18, 2019
医療機器メーカーでのデータ利活用は想定以上に進んでいない
というのも、「IoMDの時代が来る」という仮説を持って、僕自身もこの2年間様々な医療機器メーカーの中の人たちと話をする機会がありましたが、ハードウェアをネットワークに接続する大きな流れはありつつも、やはり医療機器メーカーからすると「データは医療機関のモノ」であって、それを利活用して自分たちのビジネスを作っていくという発想はまだまだ弱いんですね。
「この会社はめっちゃおもしろいデータ持ってそう」と外から思われているような会社の中の人と話しても「いや正直うちはデータは全然取り組めてないんなんですよ…」という反応ばかりって感じでした。
一部のデジタルヘルスに感度の高い人たちが「こういうことやりたい」とは言っているものの、トップマネジメントの高齢化も進むメーカーの大きなビジネス方針を動かせるような状態にないんですね。
彼らはデータを得られたとしてもあくまで利用用途は研究発表/論文化を通す形でのマーケティング上の利用、少し進んでいてもデバイスの開発に役立てていくという発想しかなかったわけです(極めて真っ当といえば真っ当ですし、むしろそういう用途のデータの活用法については医療機器メーカーの持つ知見はやはりとんでもないです)
ヘルステックのプレイヤーは医療機器への解像度が低い
他方で、非医療機器のヘルスケアビジネスをやっている人たちからしたら、病院や医療機関向けにソリューションを提供しつつ、そこで溜まったデータを使って事業化なんて、いまや極めて当たり前の戦略になっていますよね。
振り返ってみると7-8年前、自分が2013年くらいにSMSで認知症メディアの事業をやっていたときに、いっこの事業モデルとして考えていたのが、メディアに集まってきたユーザーに、早期認知症やMCIなどの患者さんが集まってきているはずで、そのユーザーに対して医薬品開発の治験の案内をしてあげたると双方いいんじゃないかと考えたりしていたんですね。
実際に、製薬会社や治験リクルーティング会社とディスカッションを重ねさせてもらったりもしていました。
7-8年前だと、まだヘルスケアビジネス界隈でもこういう話をしても新しかったわけですが、今やエムスリーが3Hグループを買収したり、Ubieのような医療機関向けソリューションを提供している会社が貯めたデータを製薬向けに事業展開をすると言うことは当たり前になっているわけです。(言わずもがな匿名化などの個人情報への配慮やセキュリティは前提です)
で、ヘルスケア領域でそうしたデータ利活用のビジネスモデルを一番最初に作って成功させた元祖がJMDCやMDVなわけですよね。
もちろんデータの外部活用だけがIoMDのポイントじゃないわけですが、いずれにせよ、電子カルテやレセプトデータよりもだいぶ手前に、一番リッチなデータが取得できる場所が医療機器でありデバイスです。
医療機器で得られるデータが電子カルテに当然全部入力されるわけはないわけで、ここにガチのRWDがあるのになーと思っていたのですが、なかなかIT・サービス企業がデバイス・医療機器に参入することはハードルが高いわけです。(いやまじでやってて思いますが医療機器もHWも超大変なので…)
まとめると、医療機器メーカーはデータをうまく事業化できず、一方でIT・サービス企業はデバイス・医療機器に参入がしづらい、とこういう構造的な難しさがあるんですね。あと同じ医療業界でもこれらの企業は意外と交流していないんですね(製薬企業とIT企業はだいぶ接近しているのですが)
JMDCxオムロンという本丸の提携
そういった背景で、いや日本IoMD思ったより進まんな、と思っていたんですね。
そんなときに、このオムロンとJMDCの資本業務提携のニュースですよ!!
オムロンは特に循環器領域血圧計や心電計など循環器領域では世界的でもトップを走る医療機器メーカーです。また、日本企業の中ではもっとも昔からデバイスのネットワーク接続を昔からやっていた、それらのデバイスから得られた情報を連携しながら、最近は遠隔診療でのサービス展開なども加速させています。
一方で、JMDCは上にも書いたとおり医療データ事業化の先駆者です。また、最近は医療データを起点にしつつ、ヘルスケアビジネス全般のプラットフォーマーとして進化・変化をしています。
これらのデバイスxデータで最強の企業2社が組んでしまったということで、これはまじでIoMDがついに国内でも本格化するぞ、という機運なわけでとにかく興奮しています!
JMDCが保険者から貯めたデータに、オムロンのデバイスのデータが乗っかってきたらまじで予防プラットフォームとして最強の世界が誕生しそうですよね。
ちなみに個人的にもJMDCには数あるヘルスケア企業の中でも一番注目していて、こないだ加藤先生とやった2022年のヘルスケアビジネストレンド予測のYoutubeでも「JMDCがやばい」という個社名を出すくらいの注目ぶりでしたw(トレンドじゃないw)
▼加藤先生との #TRENDTALK はアーカイブありましたのでよかったら!
https://www.youtube.com/watch?v=0JCmO4viUUA
JMDCのグローバルの展開の足掛かりも!
また、オムロン・JMDC各社のリリースを見ると、保険者向けのデバイス・サービスの提供や、グローバル展開の足掛かりという言葉もありますね!
JMDCは以前Fitbit社を提携して保険者向け展開するみたいな展開をやっていましたが、それ以降そこまでIRでも出てきてないので、そんなに跳ねなかったのかなと思いますが、オムロンも腕時計型の血圧計を提供したりしており、あらたな保険者向けのサービスが展開されることも楽しみです。
またJMDCはまだ売上のほとんどが国内向けだと思います。エムスリーが海外企業の買収を重ね、海外売上比率が25%と伸びていく中で、JMDCの海外展開への期待は社内・投資家ともに高いでしょう。
一方オムロンのヘルスケア事業の海外売上比率は、年々成長しておりいまや約3/4が海外売上となっています。
JMDCとの資本提携もあり、あらためてオムロンの決算動画を見たりリサーチhttps://t.co/w3XRe9SFGB
ヘルスケア事業の海外売上比率は約76%。JMDCグローバル展開の足掛かり。診療科や製品領域毎の売上はあまりわからず〜循環器の機器売上が多いのかな?血圧計安そうだし..詳しい人教えて!#オムロン pic.twitter.com/9e8rEP92Tx— アジヘル@AI医療機器アイリスCOO (@healthcareITSG) February 23, 2022
今回の資本業務提携をもってJMDCのグローバル展開の本格化となれば、JMDCが確立した医療データのビジネスモデルの輸出にも大いに期待をしたいものです。
IoMD以外にも本提携から広がる可能性はまさに無尽蔵であり、本当に今後が楽しみです!僕の興奮度合いでいえば、TeladocとLivongoが合併したときと同じくらいのテンションでいますw
ノーリツ鋼機はなんと1,119億円のキャッシュが..!
そろそろ終わりにしようと思いますが、最後に今回の株式取得は以前JMDCの親会社であったノーリツ鋼機から行われています。
プレスリリースにもあるとおり、ノーリツ鋼機はJMDCの株式を48%所有していました。
このうち33%分を売却する形で、その売却総額は1,119億円ということでとんでもない規模ですね。この資本を持ってノーリツ鋼機がどんな展開をしていくのかも長年ノーリツ鋼機いつか跳ねないかな〜と期待してホールドし続けた株主(ほんとちょっとだけ)としては楽しみです。
しかしノーリツ鋼機の時価総額は本発表前の2/22(火)終値で約630億円ということで、630億円の時価総額が1,119億円得ちゃったというとんでもない現象が起きていますw
いやGMOグループとか持ち株の評価額が、親会社の時価総額よりも高い問題は昔からあったいびつ構造ですが、こうした企業が持ち株をこの規模で売却したケースはそんなに多くないと思いますのでノーリツ鋼機の株価がここからどうなっていくのかも注目したいと思いますw(僕自身はほんとちょっとしか株持ってないので単純な興味です)
オムロンがJMDCの33%株式をノーリツ鋼機から取得して資本提携!日本のヘルスケア最強の2社が組んで楽しみすぎるぞ!!
取得額は1119億円でノーリツ鋼機の時価総額の2倍近くで吹いたw
併せてノーリツ鋼機の配当予想が20円→184円に変更してる。配当総額69億円…市場外取引で吹っ飛んでる。そらそうか pic.twitter.com/Oa35RawNKY— アジヘル@AI医療機器アイリスCOO (@healthcareITSG) February 22, 2022
最後にヘルスケアトークしてる友人とのメッセグループで「オムロン、620億円でノーリツ鋼機買収すれば、JMDCの株が48%手に入ったたんじゃ?」という話で盛り上がっていたというネタで締めたいと思います(いやノーリツ鋼機が売るわけないとかそういったことはおいといて..与太話ですw)
↓ほんとノーリツ鋼機の投資のセンスすごいw
ノーリツ鋼機によるJMDCへの投資額と回収金額 pic.twitter.com/oIHHrvguFG
— 廣川航 (@hirokawa_style) February 23, 2022
そんな感じで2022年は勢いに任せて更新頑張っていくぞーって感じです!よかったらシェアとかRTしてくれたり感想もらえると、更新する気が湧くのでお願いします!
ではまたね〜!
▼アジヘルさんの最近の仕事をまとめてみました!お仕事の依頼もこちらからどうぞ
僕の今やってる仕事や過去の登壇/執筆についてNotionでまとめてみたので公開します!! 仕事依頼頂くときの参考にどうぞ😆 https://t.co/LAjpgWh6DT
最近は機関投資家向けの登壇や大好きなお店のお手伝い、本も共著で関わったりと仕事の幅が広がってます!2022年もやってくぞー!#アジヘル pic.twitter.com/0WGps5mwr6
— アジヘル@AI医療機器アイリスCOO (@healthcareITSG) February 23, 2022