こんにちは、アジヘルさんです。
12月頃からずっとハードにワークまっさかりしてるのですが、同じくらいハードにライフとハードにプレイしていきたいと思います!
やるぞ〜!
ということで、半年ほど前にApple Watchが医療機器化されたあたりで、いま一番欲しいものはApple Watchなわけですが、もうそう言い始めてから1年くらい経ってる気がしてて、ケチ性なのか、「今だ!」という買うタイミング・きっかけみたいなものがないと数万円を超えるものをなかなか買えない性分なんですよね・・・。
そんな中でJMDCがFitbit社とすごい契約を結んできたぞ、ということで今日はそんなテーマでお話ししていきたいと思います。
JMDC、Fitbit Premiumの法人販売契約って日本エクスクルーシブなのか、やば!!Googleもよく許諾したな・・
国内ではだいぶApple Watchに後塵を拝している感のあるFitbitだけど、JMDCがどう戦うか。
法人従業員向けにFitbit配りまくったらエグいけど、企業健保にそんな大きな意思決定できるのか#JMDC pic.twitter.com/cil9InRlMp— アジヘル@AI医療機器アイリスCOO (@healthcareITSG) November 28, 2020
今回は、現職の事業で健康経営にも詳しい個人インターンの坪井大和くん(@yamato_tsuboi)がベースの記事を書いてくれています! では、いってみましょう。
まず、2020年11月26日にFitbitとJMDCが法人向けFitbit Premiumの日本市場における独占販売契約の締結を発表しました。(プレスリリース記事)
今回は、提携の概要に加え、提携の背景やインパクト、今後の展望について考察していきたいと思います。
そもそもFitbit Premiumって?
さて、Fitbitを知らない方は少ないかと思いますが、リストバンドやウォッチ型のウェアラブルデバイスですね。
僕もシンガポール時代に使ってました。家にジムがある意味不明な環境でだったので毎日のワークアウトに重宝していました(が壊れて充電できなくなったのでその後どこにいったのか・・)
しかし、「Fitbit Premium」といわれて、はじめて聞いたよ、という人も多いのではないでしょうか。
Fitbit Premiumは2019年8月に開始されたFitbitの有料課金プランです。
個人利用もできて、その場合の価格は 650円/月(6,400円/年)となっています。
米国では、ローンチ1年足らずで、会員数は50万人を超えています。
通常の Fitbitアプリの機能に加えて、Premiumでは下記の機能が利用できます。
1. より詳細な健康レポート(詳細な睡眠分析)
2. 行動データに基づくアドバイス
3. ガイド付きプログラム
提携の概要
Premiumのサービスのイメージがついたところで、本題の提携内容についても簡単に説明します。
提携内容は、法人向けFitbit Premiumの日本市場開拓をJMDCが独占して請け負うというものです。
独占契約の難しさとは
自分でもAI医療機器の顧客への展開を考える中で、当然提携というのを考えるのですが、この領域に触れれば触れるほど、「独占契約」というものがどれだけ双方にとって重たい意思決定なのか、みたいなことを考えるわけですね。
Fitbit側としてはもちろん、日本市場を独占的に渡すというわけですから、ここのパートナー選定に失敗すると、日本市場を失ってしまうわけです。
一方で、今回は独占契約ということですので、JMDC視点としても、なんらかのリスクテイクが契約に盛り込まれたものだと想定されます。これだけの大型ディールとなりますと、「独占契約しましたが、結果全然売れませんでした、ごめんなさい」では済まないもので、たとえば、最低販売条件や契約一時金の支払いなど、なんらかのJMDC側にもコミットが設定されるはずです。
独占契約は、これら双方の利害が合意しなければなりませんし、パートナー選定は特に重要なわけですが、そういった中でも、JMDCは2016年より企業や健保などにFitbitの提供をしてきた実績があり、ベースの信頼感があったからこそ、今回、さらに踏み込んだ形で、法人向けFitbit Premiumの独占販売という提携に発展したのだと想定されます。
FitbitとJMDC、双方のねらい
さて、今回の提携におけるFitbitとJMDCそれぞれの狙いについて考えてみましょう。
Fitbit視点
なんと言っても、JMDCの健保・法人への販売ネットワークを利用できるのは大きいでしょう。
また、これまでにもJMDCはFitbitの代理店販売もしていたため、Fitbitのサービス理解がすでに十分にあり、信頼できる企業と提携できるのは、安心でしょう。
独占契約でもあり、JMDCにセールス〜カスタマーサクセスまで一気通貫で同じ会社に委託できるのは良いですね!
また、Fitbitは英語コンテンツがほとんどのため、日本での導入を進める上では、日本語のコンテンツが必要になります。
そこで今回の提携では、Fitbit Premiumをハブに、食事指導はあすけん、リラクゼーションミュージックはクロア、睡眠はニューロスペース等のサービス連携をすることで、日本語のコンテンツを提供する方針をとっています。
一方、日本においても外国人比率の高い企業では、外国語対応していないサービスの導入は難しいこともあるため、この点ではFitbitはそもそも英語コンテンツがメインのため、むしろ強みになるでしょう。
JMDCの有するデータを用いて、Fitibit Premium導入による健康経営の投資対効果の可視化もできるかもしれません。
健康経営市場では、年々健康経営銘柄やホワイト500の認定基準が厳しくなり、プロセス評価だけではなく、アウトカム評価が求められるようになってきています。その上で、サービスの投資対効果の評価をできることは強みになるでしょう。
JMDC視点
米国でローンチ後1年足らずで50万人のユーザーを獲得したFitbit Premiumという強い商品を日本市場で独占し、唯一無二の顧客提供価値を届けられるのが、JMDCとしては何よりの旨味ですね!
ちなみに、MM総研の調査によると、日本市場において、ウェアラブルデバイスのシェア率ナンバーワンはApple Watchで48.6%、Fitbitで20.8%となっており、Appleに遅れを取っています。
しかし実は、健康経営市場においては、Fitbitを社員に配っている会社が多いと詳しい人から聞いたことがあります。
JMDCとしては、やはりユーザーのライフログデータを入手することで、得意とするデータ二次利用や商品開発に生かしていく狙いのようです。
JMDCの松島CEOは「今後も個人の健康増進に寄与すると同時に、ウェアラブルデバイスを通じて集積したデータを用いて更なるソリューションの開発を進めていきたいと考えております。」とプレスリリース内でコメントしています。
健康経営市場に与えるインパクト
JMDC×Fitbitのシナジーで、データ解析、幅広いソリューションの提供、効果の可視化をワンストップででき、かつ、健康経営ソリューションのプラットフォーム的なポジショニングをとっていける可能性があると思います。
健康経営や健保向けのソリューションを提供している企業にとっては脅威となりそうですね。なお、最近ではiCAREのCarely Placeなども、他社と連携し、健康経営ソリューションを複数載せたプラットフォームを築いてきています。
日本で成功していくための前提として、法人・健保にウェアラブルデバイスを配れる体力がどれほどあるかは重要なポイントになってくるでしょう。
健保は財政難を強いられているため、法人への導入がメインになってくるのではないかと思います。
また、法人・健保のニーズにどれだけ刺さったソリューションを提供できるかも注目です。Fitbitにはコミュニティや友達機能があり、健康経営施策として歩数競争などは人気がありますが、普段から会社の人に歩数など見られてしまうのを嫌がる人は多いんじゃないかなと思います。
また、私も実際にPremiumのトライアルを使用してみたのですが、ほとんどが英語コンテンツであり、プッシュ通知も英語のため、このままだと厳しいかもという印象はありました(もしかしたら、法人向けサービスはちゃんと日本語対応されているかもしれませんが)。
法人や健保は、そういった細かいところまで気にすることが多く、日本の健康経営市場にどれだけ合わせた形で商品を提供していけるかはキーになると思います。
最後に:予防はお金にならないを乗り越えられるか
今回の提携で、日本でFitbitおよびFitbit Premiumのシェア拡大がどこまで進むのかとても楽しみです!
また、医療・ヘルスケア市場は「予防・診断・治療」という領域に大きく分けられる中で、これまで「予防はお金にならない」と言われ続けてきた領域ですので、今後今回のJMDCxFitbitでの提携で、単なるデバイス販売を超えデータを予防に活用しそこで事業化するというビジネスモデルの構築を、個人的には大いに期待しています!
これからも2社の動きに注目していきましょう。
ヘルステック業界最新ニュース11月号まとめ
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⇒JMDC、Fitbit社と提携しFitbit Premiumの法人向け独占販売契約権を取得!(本記事)
⇒平安好医生がオンライン診療専用の保険を開始、その狙いとは?(準備中)
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