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医療介護ヘルスケアIT時価総額ウォッチ(2018年5月版):エムスリー流ヘルスケアビジネスの7Pとは?

皆様、こんにちわ、アジヘルさんこと田中大地です。

GWいかがお過ごしでしょうか?
僕は今回のGWはずっと東京におりました。いっぱい人と会い、本を読み、思考を深め、充実したGWにできたと思っています。

あとようやくシンガポールから荷物が来たので生活がまともにできるな、という状態です。
手始めに書斎的な空間を作って満足していました(笑)もうほとんどKindleでの購入ですが、やはり紙の本って上がりますよね。
昔から、片付けとなると、一番ワクワクする本棚の整理から取り掛かって、残りは後回しとなるのですが、早くダンボールだけの生活から脱却したい・・・頑張ります!

さて、ではいつものやつ、医療介護ヘルスケアIT企業最新ニュース行ってみましょう!

まず日経平均の推移です。
2017.1.4:19,594円
2017.2.1:19,148円
2017.3.1:19,393円
2017.4.1:18,909円
2017.5.1:19,196円
2017.6.1:19,860円
2017.7.1:20,003円
2017.8.1:19,996円
2017.9.1:19,691円
2017.10.1:20,356円
2017.11.1:22,420円
2017.12.1:22,819円
2017.12.29:22,764円(大納会)
2018.2.1:23,098円
2018.3.1:22,068円
2018.4.1:21,453円
2018.5.1:22,467円

4月1日→5月1日騰落率:104%となっています。
日経平均は検討でしたが、一方マザーズ中心に小型株は95%と、抽象小型株中心の投資をされている方には厳しい1ヶ月だったようです。

では個別企業行ってみましょう。4月は早い会社は決算時期ですね!

医師向けサイト4社: エムスリーが唱える医療ビジネスの7Pとは

企業名 2018年5月
時価総額 予想PER 前月比(%)
エムスリー[2413] 13,425 64 87
ケアネット[2150] 107 35.5 88
メドピア[6095] 124 103.9 87
MRT[6034] 97 978.9 67

さて、まず医師向けP/Fを運営する4社から行きましょう。

エムスリーは全項目において業績予想をしっかり超えてくる素晴らしい決算でした。

スクリーンショット 2018-05-06 15.56.03

が、アナリスト予想を下回ったとして、一時時価総額2,500億円近く下げています・・・いくらPER高いとはいえ、流石にそれは、、という感じでしたが、、2,500億円というとここに掲載している日本企業からDeNA以外を全部足した数字を超える規模ですからね・・・それが1ヶ月と飛んだと思うと株式市場は恐ろしいです。

これまでとの大きな差は、エビデンスソリューション領域の業績が、これまでのFY17予想の240億円を大きく下回る220億円で着地というところでしょうか。SMOノイエスの回復が想定以上に遅れているようです。

▼エムスリー 本決算説明資料
https://corporate.m3.com/ir/library/presentation/pdf/20180425_03.pdf

さて、決算に関してはこの程度にしておいて、やはり今回の決算資料の白眉は、これですね、「エムスリー流ヘルスケアビジネスの7P」!!!
4Pとか全然ダメ、ヘルスケアにおいては、7Pでしょ!と。 しかも、これまでのProduct, Price, Place, Promotionが全部無い、という潔さ

スクリーンショット 2018-05-06 16.03.38

フィロソフィーがまず最初に在り、業界構造の理解(法規制、保険者, 支払い制度)、顧客の理解・インサイト(病院・医師・医療従事者)そして、テクノロジーの活用によって、どの程度<数字目標を持って>、医療費ないしは患者数の削減、納得感に貢献できるのか。

このフレームワークは個人的にはとても納得感があります。
WELQのように数値管理に寄りすぎたゆえにフィロソフィーを見失い、うまくいかなかった例は枚挙に遑がないでしょうし、業界構造理解が誤っている・不足していることによる筋のよくないアナロジー・課題設定も、特に他業種からの参入組にありがちです。

逆に、内部のことをよく知る医療従事者の場合、フィロソフィー・構造理解・顧客インサイトはあるが、具体的な数字目標の算出が精緻でなかったり、あったとしてもビジネスとして成立させることに苦戦しているというケースもあるかもしれません。

正直他業界から比べるとぐっと複雑さも難易度も増すと思いますが、この複雑さを面白いと思える人であれば、医療・ヘルスケア業界で事業をやることに向いているのだと思います。
自分としても、このフレームワークを活用することで、自社サービスの改善点・より強化するポイントを明確にする際に活用していきたいと思います。

なお、これによりエムスリー社のターゲットとするマーケットが、これまでの医療業界の医薬品のR&D、マーケティングの4兆円規模から、国内40兆円、海外含め500兆円(=ヘルスケアビジネス市場全部!)に拡大した、と言います。うーむ、これからもエムスリーから目が離せませんね!

医療ヘルスケアBtoB 6社: MDV社は株価下落が止まらず

企業名 2018年4月
時価総額 予想PER 前月比(%)
EMシステムズ[4820] 469 21.5 98
メディカル・データ・ビジョン[3902] 639 130.1 70
バリューHR[6078] 112 75.8 104
アトラ[6029] 88 29.2 100
Ubicom HD[3937] 102 47.8 91
データホライゾン[3628] 86 65.3 99


メディカル・データ・ビジョンは株価が大きく落としています。
特に悪いニュースが出たわけでは無いのに前月比70%とかエグすぎる。。また上げ基調になれば買いは有りですかね。

また、5月11日から施行される「次世代医療基盤法」との兼ね合いも気になります。おそらく、匿名加工できる認定事業者への申請は行っているとは思いますが・・・MDVが製薬企業に販売しているデータのサンプルを見たことがありますが、厳しくいえば完全に匿名化された情報と言えるのか、という論点もあるのかなと思います。

▼実名で集約「医療ビッグデータ」閣議決定 初診時に説明
https://www.asahi.com/articles/ASL4V54BWL4VULBJ00J.html

医療ヘルスケアBtoCその他: DeNAがKaggle実績を人事制度に反映

企業名 2018年5月
時価総額 予想PER 前月比(%)
メディカルシステムネットワーク[4350] 176 17.5 101
エムティーアイ[9438] 398 17.8 100
DeNA[2432] 3,144 12.8 109
メディカルネット[3645] 39 46.6 91


MTI社は、第二四半期の決算を発表しています。
これまで通り、全体の有料会員数は減少、ARPUは改善という流れが引き続き継続しており、まだ明確に下げ止まった印象は受けませんでした。

クリプラ社の子会社化もあり、ヘルスケア関係の情報がよりシェアを増していますが、別領域でもチャットボットサービスの導入事例についてもいくつか発表しており、独⽴⾏政法⼈ 中⼩企業基盤整備機構や、みずほ証券などから受注を得ているようで、こちらも楽しみです。チャットボットは儲かるという話も良く聞きますので笑

▼MTI社 2018年9⽉期 第2四半期 決算説明資料
http://www.mti.co.jp/ir/library/presentation/2018/20182Q.pdf



また、メディカルネット社も第3四半期決算を発表しています。
メディア事業は相変わらず、高い利益率で好調継続、ここで得た利益を元に注力事業である医療経営支援事業を掘っていこうという形でしょうか。
第3四半期ベースで、通気の利益予想を超えていますが、メディカルネット社はこれまで4Qで投資強めて、通期予想くらいに着地、という傾向が強いイメージがあるのですが今年はどうでしょうか笑

▼メディカルネット 第3四半期決算短信
https://www.medical-net.com/common/doc/ir/h30/ir_h30_20180402.pdf



また、ヘルスケアには直接関係ないですが、DeNAは新人事制度で非常に興味深い制度を発表しています。AIに興味津々な僕としては、触れておかねばならぬ!というあれで紹介ですが、Kaggleでの実績を採用や、業務内容に反映させるというものです。

▼業務時間のKaggle参加を推奨する新制度導入。DeNA内でのAI技術者育成と活用を強化
http://dena.com/jp/article/2018/04/03/003587/

スクリーンショット 2018-05-06 16.21.25

育成も採用もいずれも困難なデータサイエンティストをDeNA内に増やす!という目的での制度ですが、上記図を見ると、非常に高い成績を取った場合、通常業務でのアサインをゼロとし、Kaggle業務100%でOKという面白い制度です。

よし、ではいっちょ僕も、と言いたい気持ちは山々なのですが、高校生の時に数学1Aの実力テストで3点を取った時から、苦手意識が半端ないので「数学ガール」読んで克服を狙っていますw

といつまでも言っててもしょうがないので、数学1Aから復習しようと思ってるのですが、「チャート式」とか買えば良いんですかね?文系、数学苦手だっただけど、俺はこんな風に勉強したよ!という方いれば、誰か良い本あれば教えてくださいm(;_;)m

介護IT 3社:カナミックネットワークはNTTのクラウド電カルと連携開始

企業名 2018年5月
時価総額 予想PER 前月比(%)
NDソフトウェア[3794] 184 18.1 93
カナミックネットワーク[3939] 300 130.7 90
インターネットインフィニティ[6545] 128 75.4 85

カナミックネットワークはかなり渋い連携を発表しています。NTTグループの提供する在宅医療向けクラウド電カルとカナミックネットワークの情報連携+Vキューブのテレビ会議システムと連携し、HCPtoHCP間の遠隔連携を実現したとのことです。

▼クラウド電子カルテとテレビ会議システムを連携させた多職種連携を開始
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80746/1ca1dc57/51d9/42d9/bd96/fc85c495bee5/140120180418414177.pdf

マニアックすぎてこのリリースの凄さがあまりまだ理解できていないwのですが、一般投資家もちょっと反応できなかったようで、株価は下げが止まらない状況になっています。

あと、病院向け電カルのシェアは前回記事で貼っておきましたが、特に在宅医療向けのクラウド電カルのシェアっていまいち情報が見つからなくって、、もしまとめてる方がいたら教えてください!セコムとかが凄い、という話はよく聞きますが。

海外医療ヘルスケアIT3社:Athenahealth素晴らしい決算も

企業名 2018年5月
時価総額 予想PER 前月比(%)
Teladoc[TDOC] 2,678 108
athenahealth[ATHN] 5,110 95.8 89
NantHealth[NH] 373 113

※時価総額の単位は百万ドル


アテナヘルス社は、第一四半期の決算と、2018年の業績予測を発表しています。相変わらず、昨対比10%以上の成長を続け、好調に見えますが市場からの高いValuationに対しては未達と判断されたのか株価は一点下落しています。僕には好決算にしか見えなかったのですが笑

さて、以上で、今回の定点観測はおしまいとさせていただきます。

引き続き今月も買いも売りもほぼできておらず、アジヘルファンドの組み入れ銘柄公開はやめておこうと思います。そろそろ決算なので、しっかり見ていって次の動き決めようかな、と。

今月のアジヘルファンドの成績

どーん、昨月比99%でした! TOPIXが104%に対してまたも負けという成績ですが、今月はマザーズが95%とだいぶ苦しかったのと、まあほぼ証券口座見てないのでしょうがないっちゃないですね。

->頑張って毎月更新中!過去の定点観測はこちらのまとめよりどうぞ

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