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日本アルトマーク社が進める医師の共通DB、DCFコードについて考える(Part1)

久々に医療・ヘルスケアITのことを書きます!さぼっててすみません!

先日日本出張行った際に、特に医師関連で事業をやっている各社の方々とお話する機会を得たのですが、色々と面白い知見を得ることができました。(アポいただいた皆様ありがとうございます!ブログ経由でお知り合いになった方が多く始めてよかったなーと思ってます。)

今回からはそこから得た知見や考察について書いていきたいと思います。

まず、これ面白いなー、アジアでもやりたいなーと思ったこととして、医師の共通データベースについて今日は書いてみたいと思います。

日本における医師の共通データベースといえば、日本アルトマークが運営する医師共通データベース、通称DCFですね!

正直、このアルトマーク社がやっていること、これまであまりわかっておらず、メドピア社と合弁会社を作って何かやろうとしている、というくらいの理解でした。ようやく構造理解が少しずつできはじめたので、DCFとオープンIDを目指すメドピア社との取り組みについて僕の理解をまとめてみたいと思います。(間違ってたり過不足あればご指摘ください!)

参考: 日本アルトマークとメドピアが業務提携に関する基本合意 
医師等医療関係者の「共通ID」サービスを提供する合弁会社を設立(メドピアプレスリリースより)
https://medpeer.co.jp/press/?p=2487

日本アルトマーク社が提供するメディカルデータベースとDCFコードとは

まずそもそも、メディカルデータベースとはなにか。これは1962年創業と歴史の古い日本アルトマーク社(2015年からNTTドコモ傘下)が、国内の医療関連情報を、オープンソースな形で整理しようぜと取り組んでいる各種の共通データベースになります。

この中で、医師に関する共通DBを、DCF=Doctor Computer Fileと呼んでいます。このうち医師を一意に特定するKeyとなる個人コードが、DCFコードといわれるものになります。

※なおメディカルデータベースには、医師以外に薬剤師や病院情報、介護施設情報などもありますが、ここでは最も活用されているであろう医師データベースについてのみ考えていきます。

同社Webサイトによるとその取得項目として、基本的な個人情報に加え、専門科目や所属医師会、勤務先、役職さらに自宅住所から電話番号まで含まれております。(下記表参照)

DCFの取得項目
※取得項目は日本アルトマーク社のHPより参照

で、これを共通DBとして、製薬会社や医師品卸、医師向けサイトを展開する各社で共通利用していこう、情報アップデートもみんなで協力してやろう、というものです。

(ただし利用には、日本アルトマーク社へのライセンス利用料の支払いが必要ですので、完全にフリーのオープンソースではありません。また思想はオープンソースといえど、製薬会社や医師向けサイト側がどれだけ情報のアップデートに協力しているかも定かではありません。)

このような共通DBの思想は医師以外では滅多に聞きません。
このような思想が生まれた背景として推定するに、法規制により日本では(海外もほぼ同様)、製薬会社から非医師への医療用医薬品の情報提供、プロモーション活動は禁じられておりますので、製薬会社は医師情報を各社で収集、アップデートしなければなりませんでした。1から医師情報を収集するのはまずとてつもなく大変ですし、さらに勤務地変更、転職なども含めると各社の手に負えない状態になってしまいますので、ここはひとつみんなでやりましょうや、という話になったのではと思います。

DCFを図で整理すると以下のようなイメージになります。
アルトマーク社の共通DBの構造

このような共通DBは、僕の認識する限りアジアには他に例はないと思ってます。日本だけの独自の慣習のようですね。(USとかあるのかな、詳しい方教えてください)
勿論各国のMOH(Ministry of Health、厚労省)ないしはMOHの関連機関などが発行する医師のライセンス番号というものはあるのですが、基本的には医師やっていいよ、というライセンスだけで、現在アクティブに働いているのか、勤務先やその他個人情報は紐づきづらいわけです。

いわゆる車の運転免許と一緒で、テスト受かればライセンス発行されるものの、ふだんから車乗ってんの?とか何の車持ってるの?などはライセンスには紐づいていない、こんなイメージでしょうか。
またその特性上、民間企業が自由に使っていいようなオープンなものにはなりづらいと認識しています。

DCFコードは医師を特定するために製薬会社内で一般的に利用されている

ではこの共通DBはどのように使われているのでしょうか。製薬会社のマーケティングの話を例に見てみましょう。

ご存知の通り、製薬会社はMR、講演会、インターネットなど様々な手段を使って、自社の医薬品を医師に対してプロモーション(ディテーリング)していくわけですが、この際、KOL(キーオピニオンリーダー)といわれる医師にターゲットを絞ります。

なお、KOLの定義は大きく2つあり、
・該当領域で有名、影響力のある各社でほぼ共通となる医師
・該当疾患の患者数が多い、自社医薬品の処方数が多いなどの理由によって定められる会社固有の医師

後者は各社によって違うわけですが、客観的データ+MRからの報告によって決まっているようですので、MRも自身の関係性がいい医師が選ばれがちという話もよく聞きます。
(KOLに選ばれたらMRとしてもいっぱい訪問しなければならなくなるので、門前払いばっかりされる医師は選びたくないですよね)

で、このKOLを定めたら、製薬会社はここに注力するわけです。他の医師は最低限の情報提供のみとなります。
これはもうあからさまで、友人のMRの話によると、たとえばMRの数など、KOLの多い東大病院には10人体制で張り付け、影響力の弱い小規模クリニックは1年に1回顔だけ出す、みたいなことが常態化しているそうです。

そういう構造のため、医師向けプラットフォームを展開する各社も特定医師のみを対象とするプロモーション手段を提供しています
MR君などはまさにですね。製薬会社から指定された医師、KOLだけに対してメールを送っているわけです。

ここで特定医師を管理するために利用されるのが医師データベース、DCFコードです。長らく製薬会社内でもDCFコードを用いた医師の管理が一般になっているそうで、今回のプロモーションはこのDCFコードの医師に向けてやるぞー!という運用がされているわけです。

勿論、このコードは製薬会社と医師向けプラットフォームが会話する際にも用いられます。
たとえば、ファイザーがエムスリーに対して、今回のMR君はこのDCFコードの人たちについて送付よろしくね、とリストを渡しているとのことです。
エムスリーやメドピアなど医師関連ビジネスをやる各社も日本アルトマークにライセンス料を払っているわけですね。

エムスリーはここで他社のDBを利用しなければならないのは、正直、面白くはないでしょう・・・極端な話、日本アルトマーク社(&ドコモ)が、エムスリー社に対して何らかの理由で提供やめ!となりうる可能性もあるわけですので。
まあ日本アルトマーク社のミッションステートメントと、エムスリーの圧倒的な強さを考えると、なかなか現実的にはなさそうな気もしますが、民間企業である限り可能性としてはゼロではないわけです。

さて、ここまででDCFコードの概要を説明してきましたが、こういったビジネスの構造上、DCFに含まれる情報は常に最新であることが求められるわけですね。

DBに入っている勤務先が2病院前では話になりませんし、常にアクティブでないとならない。ここが日本アルトマーク社のおかれている課題ではないかと思っています。
次回は、DB情報のアップデートをするために日本アルトマーク社の取り組みと、彼らがメドピア社と組んで実現しようとしているオープンIDについて考えてみたいと思います。

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