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薬局DX化なるか?メドピアのkakariがスギ薬局1,000店舗へ導入【ヘルステック業界最新ニュース8月版(メドピア編)】

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こんにちは、熊本から大自然リモート中のアジヘルさんです。
また紹介しますが、自然たっぷりで、めちゃくちゃいいとこです〜。

さて、恒例の医療介護最新ニュース8月号です。

今月はちょっとトライアルで、ボリュームがあるニュースに対しては、1記事1社にフォーカスして、読みやすいボリューム感でやってみたいと思います。

これまで毎月の分量が多すぎて読む方も結構気合入れて開かなきゃいけないだろうなと思ってたのですが、今回複数回にわけることで、記事あたりのボリュームを減らして、もう少し気軽に見れるようにしてみます。
どちらがよいかまた感想教えてもらえたら嬉しいです!

というわけで、8月最新ニュース第一号は、一号まるごとメドピア特集です。
メドピア好決算の考察や、kakariのスギ薬局への一挙導入について紹介していきます。


まず日経平均の推移です。
2019.4.1:21,205円
2019.5.1:22,258円
2019.6.1:20,601円
2019.7.1:21,275円
2019.8.1:21,521円
2019.9.1:20,760円
2019.10.1:21,755円
2019.11.1:22,927円
2019.12.1:23,297円
2020.1.1:23,656円
2020.2.1:23,205円
2020.3.1:21,142円
2020.4.1:18,065円
2020.5.1:19,619円
2020.6.1:22,062円
2020.7.1:22,121円
2020.8.3:22,195円

7月→8月の騰落率は、100%となっています。


8月の医師向けP/F時価総額まとめ

企業名 2020年8月
時価総額 予想PER 騰落率
エムスリー[2413] 41,671 192.5 114%
ケアネット[2150] 299 68.7 159%
メドピア[6095] 1,004 147.9 141%
MRT[6034] 83 62.6 119%

第3四半期は好決算!

メドピアが、第3四半期決算を発表しました!
今回の記事では、8月の重大ニュースであった“「kakari」、スギ薬局調剤併設型店舗1000店への導入”を加えて考察していきたいと思います!

売上1.6倍、利益約2倍!東証1部市場変更も

メドピアの売上高、営業利益を以下に掲載しました。
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売上高は前年同期比163%営業利益は前年同期比192%と凄まじく増加しています。前回記事【リンク】で紹介したエムスリーと同様、コロナ禍における製薬会社のデジタルシフトを受けて、メドピアも大きく業績を伸ばしています。

また9月15日をもって、東証マザーズから東証1部へ上場市場変更も行っています!数年前の決算説明資料から宣言しての実行ですが、おめでとうございます!

製薬マーケティングにおけるm3との比較

参考までに、メドピアのドクタープラットフォーム事業売上高推移と、エムスリーの製薬マーケティング受注金額推移を並べてみます。

▼メドピア
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▼エムスリー
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どちらも凄い伸びですね!
メドピアのドクタープラットフォーム事業は、製薬マーケだけでなく、リサーチ支援や求人サービスも含まれるため、この数字だけで単純比較することはできませんが、エムスリーの製薬マーケの伸び率がより高いことが分かります。

メドピアの市場をオンライン+オフラインの集合と捉え直す

今回の決算資料で、製薬企業のMR活動の変遷について整理されたスライドがあったので、紹介したいと思います。

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第3世代の次世代型マーケティングは、オフラインとオンラインがマージしたMR活動の世界を表していて、非常に良いスライドだと思います。

医薬品マーケティングが、たとえば先月の記事で書いた「医師のニーズが立った時に、いつでもリーチできるリモートMRを呼び出し大要的な説明をした後に、各製薬会社のリアルMRが具体的な説明をする」といった
形、まさに、OMO、「アフターデジタル」の世界ですね。



また、こう定義し直すことで、メドピアの狙う市場もこれまでのオンライン市場のエムスリーとの食い合いだけでなく、1兆円〜1.5兆円と言われる全製薬会社がマーケティングに投下する予算全体に広がるというスタンスも、マーケット定義の見直しとして素晴らしいなと思いました。

僕自身は、こうした「マーケットを適切に設定する」のは事業家力が顕著に出る世界だなと思います。

たとえば、まだ仮説を何も検証できていない起業家が、医薬品マーケティングのデジタル化領域を狙うにあたって、エムスリーと比較してマーケットを定義していても、「なぜエムスリーに勝てるのか」が定義されていないと筋が悪いなと思ってしまいますし、逆に仮説検証を終え、一定の勝ち筋を見つけた企業が今回のようにマーケットを再定義する瞬間はゾクゾクしてしまいます。

最近だと、こちらの過去記事で紹介している通り、メドレーが人材紹介事業のマーケットを再定義し、医療介護→美容ヘルスケアへの拡大をすることで、自分たちのマーケットを大きく拡張させていたことも記憶に新しいです。

自分もこうした先達者の思考をしっかりと理解し、適切にマーケットを定義することについては、こだわり抜いていきたいなと思っています。

特定保健指導のオンライン化を急速に実現!

今回のメドピアの決算において、注目すべき点がさらにあります。特定保健指導のオンライン移行を急速に実現させているところです。

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前年はほぼオフラインで行われていた特定保健指導を、コロナによってオフラインができなくなったとみるや、主をオンライン面談に切り替え、初回面談の82%をオンライン面談で実施し、全体で若干数は下回るものの、ほぼ前年並みの実施件数まで持ってきています。

多くのリアル事業者が売上減に苦しむ中、リアルメインであった特定保健指導事業にも関わらず、1年間で一気にデジタル化し、昨年と同程度の件数を実現させたメドピアのオペレーショナル・エクセレンスの強さがよく出ている資料だと思います。

この状況変化に対して、全てをオンライン前提で起き直すような対応はこのスピード感では、ほとんどの企業ではできるものではないでしょう。

メドピアの強みのコアは、変化に対応できる人材・オペレーション力ということで、特定保健指導だけに関わらず、今後の全領域での事業成長がますます期待できそうです。

「kakari」、スギ薬局調剤併設型店舗1000店へ導入のインパクトを考察!

さてここからは、メドピアの「kakari」が、スギ薬局調剤併設型店舗1000店に導入されるというビッグニュースに関して考察していきたいと思います!

▼かかりつけ薬局化支援サービス「kakari」、9月よりスギ薬局調剤併設型店舗約1,000店に導入
https://medpeer.co.jp/press/8225.html

かかりつけ薬局化支援サービス「kakari」の概要

kakariはどちらかというと立地ビジネスになりがちな調剤薬局のCRMのあり方を革新しようとするサービスです。

kakariの提供する機能
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かかりつけ薬局の世界とは?
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メドピアとスギ薬局の関係

メドピアは2018年に、スギ薬局を運営するスギHDと資本業務提携を発表し、MediplatのスギHDからの出資受け入れも行い共同でライフログP/F事業を行ったり、FitsPlusでも協業を行ってきました。

参考 ▼メドピアグループ、スギ薬局グループと業務資本提携
https://medpeer.co.jp/press/5087.html

8月のプレスリリースでは、ライフログプラットフォーム事業である「スギサポwalk」が累計100万ダウンロードを突破したことを発表しています。
https://medpeer.co.jp/press/8195.html

これまでの協業で積み重ねてきた実績が、ハードルの高い新サービスの導入を実現させたのでしょう。

スギ薬局の狙いは?

病気になる前〜なった後も常に頼られるトータルヘルスケアはスギ薬局のミッションでもあります。
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これまではどちらかというとドラッグストア/ヘルスケアの印象が強かったスギ薬局ですが、徐々に調剤の比率が伸びていっているのがわかります。
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参考 ▼スギHD 2020年2月期 上期 決算説明会
https://www.sugi-hd.co.jp/ir/briefing/pdf/202002_Q2.pdf

調剤比率を高めていきたいスギとしても、信頼できるパートナーであるメドピアの作る「kakari」の導入は、非常に相性が良かったのでしょう。

スギ薬局1,000店舗への導入は、業界でもアインに次ぐ第二位の店舗数であり、かなり大規模なものであるので、薬局業界に大きな影響を及ぼすのではないかと思います。

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kakariは当初、自社でマーケティングやCRMツールを構築することのハードルが高い中小薬局向けを想定して作られていたkakariが、今回大手チェーンであるスギ薬局に導入されたということは非常にインパクトがあります。

今後、スギ薬局のオペレーションをまわすことができ、kakariの大手チェーン導入の成功事例が生み出せれば、他の大手チェーンも追随してくる可能性があり、そうなると薬局のDX化が一気に進むでしょう。
kakariを導入して、オペレーションをどう改善していくことができるのか、まさにこれからが勝負だといえるでしょう。

2023年のメドピアの目標

最後に、決算資料に掲載されたメドピアの2023年の業績目標からは、経営者の覚悟と強気な姿勢がとても伝わってきます。

まだリリースしたばかりの第三の柱であるkakariをはじめとしたプライマリケアPFがどのくらい伸びていくか。メドピアの今後を楽しみにしていきたいですね!

事業成長に伴い株価も急激に伸び、ついに時価総額も1,000億円の大台に到達しています。今後もどこまでも突き抜けていってほしいです!アジヘルブログでもメドピア、応援していきます〜

メドピア株価


注目 8月 医師向けサイト その他注目のニュース
▼エムスリー
Uストックオプション(新株予約権)の発行内容確定に関するお知らせ
https://corporate.m3.com/ir/release/2020/pdf/20200813_01_stockoption.pdf
▼ケアネット
当社出資先である株式会社モダリスの 東証マザーズへの上場のお知らせ
https://www.carenet.co.jp/wswp/wp-content/uploads/2020/08/IR_20200803-1.pdf
▼ケアネット
2020年12月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
https://www.carenet.co.jp/wswp/wp-content/uploads/2020/08/kessan_tanshin_20200812-2.pdf
▼メドピア
歩数記録アプリ「スギサポwalk」、「目指せ!みんなで累積5,555億歩 チャレンジキャンペーン」を開催
https://medpeer.co.jp/press/8148.html
▼メドピア
歩数記録アプリ「スギサポwalk」、累計100万ダウンロードを突破!
https://medpeer.co.jp/press/8195.html
▼メドピア
メドピアと三菱電機ITソリューションズが提携し薬機法改正で変化する薬局・薬剤師の業務を共同で支援
https://medpeer.co.jp/press/8211.html
▼メドピア
かかりつけ薬局化支援サービス「kakari」、9月よりスギ薬局調剤併設型店舗約1,000店に導入
https://medpeer.co.jp/press/8225.html
▼メドピア
四半期報告書
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6095/yuho_pdf/S100JI5S/00.pdf
▼メドピア
2020年9月期 第3四半期 決算説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6095/ir_material_for_fiscal_ym/85035/00.pdf
▼メドピア
通期連結業績予想の修正に関するお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6095/tdnet/1875096/00.pdf
▼メドピア
2020年9月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6095/tdnet/1875100/00.pdf
▼MRT
2020年12月期 第2四半期 決算補足説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6034/tdnet/1873768/00.pdf
▼MRT
2020年12月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6034/tdnet/1873773/00.pdf
▼MRT
2020年12月期 第2四半期 決算説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6034/ir_material_for_fiscal_ym/84986/00.pdf
▼MRT
四半期報告書
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6034/yuho_pdf/S100JJOM/00.pdf



以上で、8月号【メドピア編】は終わりとなります! 次回は【MDV決算編】を予定しておりますので、是非お読み下さい!

ヘルステック業界最新ニュース8月号
⇒①メドピア編:薬局DX化なるか?メドピアのkakariがスギ薬局1,000店舗へ導入(本記事)
②MDV決算編:MDV決算特集!MDVデータの優位性とは?
③米国最大のオンライン診療Teladocが、Livongoを2兆円で買収!
④データホライゾン、DeNAとの資本業務提携で株価急騰

->ヘルステック業界最新ニュース頑張って毎月更新中!過去の定点観測はこちらのまとめよりどうぞ

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