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ヘルスケアIT市場における3つめのサービスモデル、医療従事者向けサイトとは

一般的なネットビジネスはto C、to Bの2つに分けられる

このブログでは医療・ヘルスケア×ITについて書いていこうと思っているのですが、そもそもこの領域ってどんなサービスがあるのでしょうか?

まだまだこの領域自体注目されはじめたのが浅いこともあり、サービス/ビジネスモデルも知らない人も多いかと思い、基本から話していければと思います。

超基本かつ、雑な分類であることを承知の上で、一般的なネットビジネスにおけるサービスモデルを大きく2つに分けると以下のようになると思ってます。

to C :コンシューマー(一般消費者)向けサービス。たとえば飲食の領域でいうと食べログとかクックパッドとかホットペッパーとかそういうやつですね。
to B :企業向けサービス。主に業務ツール(最近でいうとAirレジとかfreeeとかですね)とマーケティング支援に分かれます。大概のマーケティング支援サービスはto Cとつながってます。お客様を集めることが大事なので、C向けに強いメディアを持っているというのが強みになりやすいのです。

企業のビジネスモデル模索パターンとしても、C向けサービスで圧倒的エンドユーザ規模を確立し→B向け事業の展開や、B向け業務ツールを圧倒的に囲った後に→C向けサービスへ活かす展開も多くありえます。どちらかで規模を確立して、その母数を価値転化するわけですね。

たとえば有名な例をあげると、食べログは、月間16億ものPV数という圧倒的なユーザ規模を持ったうえで、飲食店へのマーケティング支援として食べログ予約のようなサービスを生み出すことに成功していますし、リクルートが提供するレジASPサービスのAirレジはiPadを多数無料配布×営業マンの顧客接点で、レジの導入店舗を最大化(サービス開始1年で10万ユーザー)し、このあとリクルート内外のto C向けサービス(ホットペッパーやじゃらんや、業務提携など)と繋いでいくことを狙っているでしょう。

医療従事者向けサイトとは?

さて、このような話はネットビジネスをやられている方であれば、基礎的だったかもしれません。

ここから、医療・介護・ヘルスケアIT市場の話に入っていくわけですが、こちらの市場も基本的には、上記の分類ができます。

to C向けでいうと、病院検索やオンラインダイエットサービス、ヘルスケア系メディアなどですし、toB向けでいうと、レセプト管理や介護施設の経営支援サービス、薬局の仕入れサービスなどがあります。

ただ、実はそれだけではないのです。

広い意味では、to Cもしくはto Bに分類されるのかもしれませんが、「医療従事者向けサイト」という領域にかなり多くのプレイヤーがいることが特徴です。つまり医師、薬剤師、看護師、栄養士などのヘルスケアプロフェッショナルといわれる人たち向けのサイトですね。

医療従者者は1ユーザー当たりの価値が高い

他の領域ではこのような専門職の方向けのサービスは、そこまで成り立ちにくいのです。

たとえば美容師向けに特化したサービスや飛行機のパイロット向けに特化したサービスというものは、あまりありません。
誤解を恐れずに言うと、ヘルスケア領域は、「1ユーザー当たりの価値×人数(母数)×束ねやすさ」の掛け算が大きく、事業が成り立ちやすいのです。

たとえば、医師。いわずとしれた平均年収は最高レベルの職業ですね。
医師向け求人サイトであるエムスリーキャリアを見てみると、特集が「年収1,800万円可能」とかですからね。ビズリーチとは比較になりません。

当然ながら医師は、富裕層向けに商品・サービスを売りたい企業からすれば、とても魅力的なユーザーです。年収が高い分、人材ビジネスも面白いです。(人材ビジネスの基本は転職者が1年に稼ぐ年収の30-40%が基準になっていくので、1人当たりの売上が大きくなりやすい)

なおかつ、医師の中には雇われではなく、開業をしている方も多いですね。つまり決裁権を持つ、経営者です。値段の高い新たな医療機器を入れるという判断も医師本人が可能です。

また、たとえ経営をしていなくても、研修医を除くほぼすべての医師が、「患者に処方する薬を選ぶ」決裁権を持っています。日本の医療用医薬品の市場規模は7兆円と言われており、全産業の中でもTOP10に入ります。医療という全体ではなく、医療用医薬品だけその規模です。それらの医薬品の売上は個々の医師がどの薬を選ぶかにかかっているのです。医師1人あたりの価値の高さということがよくわかるのではないでしょうか。

それにも関わらず日本では30万人もの医師がいます。
同じように一般的に年収の高いと言われている弁護士で3万人、パイロットは日本全国で7,000人程度と言われていますので、その数がどれだけ多いかはすぐにわかるでしょう。

薬剤師や看護師も同様です。医師ほどではないにせよ、年収も高く、薬剤師で30万人、看護師では国内だけで100万人もいます。それでもまだ不足している、と国が躍起になっている状況です。

どれほど1人当たりの価値が高いかはお伝えできたでしょうか。これに一定の人数がいるのであれば、医療従事者向けサービスというものが成り立つ理由がわかりますね。

束ねやすさもポイントの1つです。つまり僕らみたいなマーケターって日本に何人いるかなんて誰もわからないのですが、医師や看護師は国家資格で、登録されてますからね。医療従事者は資格免許で照合できちゃうわけです。ニーズも比較的まとめやすい。たとえば医師であれば、新薬の承認情報や、副作用の追加情報は義務として取得しなければならないと決められています。

最後にまとめてみましょう。

医療従事者向けサイト

エムスリーという怪物

さて、ここまで話せば、この領域に少しでも知見のある方であれば、ある会社の名前が思い浮かぶのではないでしょうか。

そうです、「エムスリー」ですね。日本の医師の約90%が会員登録する、医療従事者向けオンラインサービス「m3.com」を運営する会社です。

東証一部に上場しており、最近時価総額が一時1兆円を超えたことでも話題になりました。ANAやイオンと同じくらいですね。にも関わらず従業員は単体で250人程度しかいません。とはいえ、IT業界にいても、この「エムスリー」という会社について知らなかった人も多いのではないでしょうか?ポスト・イットの会社?とか言われます(それは3Mですね)

次回からは、この知られざる最強のヘルスケアIT企業「エムスリー」について考察してみたいと思います。

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